教育福島0114号(1986年(S61)09月)-038page
結果、保護者の園に対する理解も深まり、園行事等にも積極的に参加するようになってきた。
(2) 連絡ノートの活用や話し合いの場を多く持つように努めたことにより、保護者と教師間の信頼関係も深まり、同じ方向で子どもを見つめていけるようになってきている。
(二)今後の課題
(1) 日常生活、特に自由遊びの中で必要な会話が自然にできるように、一人一人の子どもの発達に適した個別指導を充実させる。
(2) 子どもが自分なりのイメージを持ち、豊かな発想ができるように、環境構成を工夫する。
(3) 子どもが安心して自分を表出できるように、教師と子ども、親と子ども、教師と親、そして子ども同志の信頼関係を深める手だてを工夫する。
幼児の発遠に即して欄入生屑における望寒しい費慣や態度を育てるには 幼稚瞬と家庭との連携をとのように図ればよいか
〜日常生活に必要なことばを身につけさせるために〜
−大熊町立熊町幼稚園
一、研究の趣旨
本園は、現在、学級数六で、百六十六名の園児と八名の教職員の構成である。
園児は素朴で、素直な子が多く、衣服の着脱、身辺の始末などの基本的な生活習慣はほぼ身についている。しかし、あいさつや感謝の言葉などについては、その場に応じて言えなかったり、自分の思っていることをはっきり表現できないでいる子も多い。
東京電力原子力発電所の建設工事に伴い、共働きの家庭が増加し、比較的若い世代の保護者の多くは、幼児の養育を祖父母に依存しており、親子の対話の機会も少なくなっている。
園においても、ことばの指導を含めた基本的生活習慣を身につけさせるため、各種たよりの発行や保育参観等の諸行事の機会をとらえ、家庭の理解と協力を得ることに力を入れてきた。
現在では、「たより」もよく読まれ、参観保育への参加率も百パーセント近くとなっている。だが、園の教育方針等については、理解はされていても、それが実践化に結びついていない面がまだ見られる。
そこで、ことばの望ましい発達を含めた基本的生活習慣の定着をめざし、幼稚園と家庭とのよりよい連携のあり方を求めていくことが、当面の課題であるととらえ、組織的に研究に取り組むことにした。
二、研究のねらい
幼児の心身の発達とそれぞれの環境における個の現状を把握し、家庭と協力して、一人一人に即した保育をすすめ、ことばの発達をうながし、幼稚園と家庭との一層の連携を図ることをねらいとする。
三、研究内容
日常生活に必要なことばを中心とした基本的生活習慣を身につけさせるために、幼児を主体とした保育をすすめる中で、幼稚園と家庭との連携のあり方を分析し、考察していく。
四、研究組織
五、研究実践の概要
(一) 実態調査の実施
日常生活に必要なことばに関して十四項目を選定し、昨年九月と今年の二月に家庭生活における実態を調査した。
それによると、名前を呼ばれたときの「はい」や「ありがとう」などは、よく言えるようになっているが、用事を頼まれたときの「はい」、「ごめんなさい」、など客へのあいさつは、うながされないと言えない子がまだ多い。
そこで、形式的なことばから、心のこもった表現に高めるために、個々の場をとらえ、一人一人に即したことばかけを積み重ねていくことについて共通理解を図った。
(二) 一日の保育のあり方
幼児が意欲をもって登園し、「今日は○○して遊ぼう」と、自分から遊びを見つけ、主体的に活動に取り組めるよう、まず、一日の保育の流れについて検討した。
(三)「こぐまカード」の活用
保育の効果をあげるためには、幼児の発達課題を的確にとらえるとともに、幼稚園と家庭とが、それぞれの役割分担を理解し合い、協力して取り組む必要がある。
本園では「こぐまカード」を作成し、日常生活に必要なことばを項目ごとに、園内及び家庭における幼児の活動の様子を累積記録し、個々の発達課題や園と家庭の役割を明らかにしながら保育