教育福島0114号(1986年(S61)09月)-039page
をすすめている。
個人の実践記録
一、幼児期の発達課題
(1) 幼稚園の役割
(2) 家庭の役割
二、連携上の問題点
三、個人生活における望ましい
習慣や態度の指導
四、連携上の工夫、努力した点
五、実践結果
(1) 成果を得た事例
(四) 行事の見直し
(1) 保育参観
これまでの保育参観は、月一回、指定された日に来園し、幼児の活動を参観するという形態がとられてきたために、休暇を取っての参観や祖父母の参加が多く見られた。
そこで、一週間の参観週間を設け、その間、都合のよい日時に参観できるようにした。また、事前に参観の視点を連絡し、保護者が焦点をしぼって、意図的に参観できるように努めた。
参観後のアンケート調査によると、「保護者間の交流の場が少なくなって残念である」という反省も聞かれたが、「わが子のありのままの姿を見ることができてよかった」など、多くの保護者から好評を得ている。
(2)誕生会
幼児にとって、誕生日が真に心に残る記念すべき日となるよう、その意義を再確認するとともに、同じ月に生まれた幼児たちを一緒に祝う従来の方法を改め、誕生したその日に行うことにした。保護者の参加を得て、エピソードを話してもらうことやへ記念の植樹を計画に入れている
(3)その他の行事
自立心を育てるために、保護者の付添いのない遠足を実施したり、親子共同による製作の時間を冬休み中に計画して、心のつながりを強めるのに成果をあげてきた。また、これらの行事を通して、保護者のわが子や園に対する理解が一層深まってきている。
(五) 各種たよりの発行
園内の出来事や幼児の活動の様子を知ってもらうため、「園だより」を月一回、「クラスだより」を週一回発行している。親子共通の話題となるような内容や父母の意見等も載せ、一方的な伝達にならないよう工夫している。また、昨年から「PTA会報」を定期的に発行し、連携を一層強めている。
六、向上している点
(1) 「ありがとう」「おはよう」などのことばが、幼児の方から自然に言えるようになってきた。
(2) 幼児の言動を注意深く観察することによって、興味や欲求を把握し、個に応じた指導の手がかりを得た。
(3) 行事等に夫婦での参加が目立つようになり、園と協力して、幼児教育に取り組む家庭が多くなってきた。
七、今後の課題
(1) 何が身につき、何が身についていないかを把握しながら、一人一人に即した保育の場を意図的に設定する。
(2) 意識の高まりの見られない家庭、連絡の途絶えがちな家庭など、それぞれの家庭の実情をふまえ、幼稚園と家庭の役割を明確にしていく。
(3) 通信の内容や保護者会の運営を一層工夫し、よりよい幼児教育のあり方を保護者とともに求めていく。
3)、おわりに
以上二園の実践を紹介したが、玉川幼稚園は、園行事の見直し、父母懇談会のあり方の検討、園だよりを充実させる工夫等を中心に、個人の変容、学級全体の変容を具体的にとらえている。また、熊町幼稚園は、形式的なことばから心のこもった日常会話ができる子どもを育てたいという願いのもとに、実態調査、一日の保育の流れの検討、「こぐまカード」の活用、保護者と共に祝う誕生会の運営の工夫等を中心に地道な実践を積み重ねており、両園の実践は、家庭との連携のあり方を探っている園に、多くの示唆を与えてくれる内容となっている。
今後は次の点に努力し、各園の特色を生かしながら、更に深い家庭との連携を図っていくよう願っている。
○ 園長はじめ、全教職員が一致協力して幼稚園経営に努め、父母の信頼を得ると共に、互いにそれぞれの立場を理解し、尊重し合う。
○ 父母の願いや要望を的確にとらえ、適切に生かすようにする。
○ 懇談会等では、幼児の具体的な話題を提供し、父母同志、教師と父母が率直に話し合える場となるようにする。
○ 行事等への父母の参加は、幼児の成長を確かめながら、幼児・父母・教師が共に喜び合う機会として生かす。
○ 幼児の健やかな成長を願って、親と共に考えるという謙虚な態度で臨む。
「こぐまカード」記入例