教育福島0115号(1986年(S61)10月)-007page

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昭和五十八年十月から同六十年十月まで東北史学会長

主な著書は、「奥州藤原氏四代」、「蝦夷」、「みちのくの世界」、「義経伝説」、「みちのく−風土と心」、「東北の風土と歴史」、「蒲生氏郷」、「天台寺」、「平泉」等多数ある。

 

いうことに、原理のバックボーンを持たせる必要があるとおもいます。

これからの日本は、中央が上から地方をまとめる日本でなしに、地方が下から一つの連帯として新しい日本をつくり出すのだ−−「地方の時代」というのは、そういう思想に立つものでなければなりません。

この博物館は、設立の理念からしても、またその規模・設備・内容からしても、その「地方の時代」を、文化の場において確実に受けとめることのできるモデル・ケースです。わたくしは、「文化地方の時代」を、福島から、東北から開いていく先兵の役目を、この博物館に期待しているのです。

故郷に錦を飾る、といいます。でも、いったん外に出て、よその借り物衣裳でふるさと入りを飾るのよりも、はじめからずっとふるさとにとどまり、ふるさとの錦をトレード・マークに、ふるさとの人としてへ名誉をたたえられるのを、わたくしはいっそう誇りにおもいます。

わが博物館は、そういう誇りある東北のこころを、福島のかたちとして歴史に表象したかずかずの郷土文化を展示して、ふるさと福島再発見の場にしょうとするものです。

これが歴史福島だったのか。県民のみなさんは、あらためて歴史の創造に深い畏敬の念をおぼえるでしょう。ここからは、北に奥深くひろがる東北が、手にとるように見えるだけでありません。西には新潟、南には北関東との連帯も、肌に実感することができます。ヤマト・奈良・京都に通じる道も、はっきり遠望されるのです。

日本は、どこでも大きな連帯の中で個的日本なのだ  この博物館をそのように、日本文化を展望するタイム・トンネル福島として見ていただきたい。わたくしは、そう希望します。

「道は爾(近)きにあり、而して諸を遠きに求む」。古人はそう教えています。日本はここにあります。文化はそこにあります。福島が日本なのです。

 

片あづま養蚕農家(県立博物館収蔵)

片あづま養蚕農家(県立博物館収蔵)

 

ふくしまの子どもの世界に展示される“おもちゃ”

ふくしまの子どもの世界に展示される“おもちゃ”

 

提言

 

 

 


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