教育福島0115号(1986年(S61)10月)-011page

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福島の盆地と平野・福島の鉱山・福島の火山と湖・福島の河川

 

ア 原始は、旧石器時代から弥生時代までを扱います。旧石器時代の遺跡は、県内では約四十か所知られていますが、今のところ最古の人間は約二万七千年前に桑折町の平林遺跡に住んでいました。この県人第一号の使用した旧石器を紹介する「福島最古の人間」が展示のスタートで、次いで学術調査で発掘した高郷村の塩坪遺跡出土旧石器群を公開します。

旧石器時代と縄文時代の環境のちがいを、針葉樹林と落葉広葉樹林、火山灰土層(剥ぎ取り)と貝塚断面(剥ぎ取り)の大型パネルで対比しています。

フロアには縄文中期末の堅穴住居を復元製作しました。二本松市塩沢上原A遺跡の学術調査のデータにより、切り取りによって移設した復式炉を中心に、最新の研究成果を生かして構成しています。この住を中心にして周囲に生業(狩猟・採集・漁拐)の用具、食の各種土器、縄文人と現代人の比較、信仰の用具、遠隔地交流を証明する石器などのコーナーを配しています。竪穴住居を念頭に、周りの資料を見ているうちに、縄文時代の人々の生活が祐佛と浮かぶように構造化されています。

 

「墓地と信仰」では、昭和二十七年新地町の三貫地貝塚で発掘され、三十四年間眠っていた土器・人骨を公開しています。特に、円形埋葬の人骨群と犬骨埋葬の復元製作は、発掘現場に立つような臨場感にあふれています。

フロアには、水田に立って石包丁で稲刈りをする女性のジオラマがあります。水田の周りには、弥生文化の特徴である稲作の開始・金属器の使用・紡績の発明を証明する資料を配しています。それは、石包丁・石鍬・太型蛤刃石斧・扁平片刃石斧・柱状片刃石斧など金属器を模した石器や臼・杵・籾痕土器などです。「再葬の墓」では、北九州の上白水原遺跡一〇〇号嚢棺(全長百七十センチメートルの合せ口裏棺)を展示しています。これには四十歳位の女性の人骨が入っていました。

 

イ 古代は、四世紀前半に形成された大和朝廷の東征の先端が、四世紀の後半には会津の地に達していたことを証する会津大塚山古墳出土品のコーナーから始まります。中期古墳では、学術調査で発掘した泉崎村の原山一号墳出土埴輪群を、一括して公開しています。後期古墳には、−旅内古墳出土の大陸の影響をうけた金銅製馬具一式があります。 「ムラのくらし」では、古墳時代を支えた農民の生活を浮き彫りにする一遺跡出土の一括資料を展示しています。

 

律令時代は「陸奥国の成立」がスタートで、白河郡衙(泉崎村関和久遺跡)出土品とフロアの正倉模型がメーンです。発掘調査のデータから正確に復元

 

貝塚の断面

貝塚の断面

 

復元された堅穴住居

復元された堅穴住居

 

古代のフロアにおかれた正倉の模型

古代のフロアにおかれた正倉の模型

 

原山一号墳から出た埴輪

原山一号墳から出た埴輪

 

 

 


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