教育福島0115号(1986年(S61)10月)-014page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

の地形模型があります。東西線で二分され、ボタン操作で北側がせり上ります。これによって火山泥流をはじめ、地下構造が断面に現われます。裏磐梯・猪苗代盆地・会津盆地の標高差が一目で観察できます。 「福岳の鉱山」では、伝統技術復元調査で解明した八溝砂金の採取法を、多くの道具で知らせてくれます。幕府の三大銀山の一つである半田銀山の採掘用具と、銀の延べ板及びその鋳型などを展示しています。また、かつて京浜工業地帯を支えたエネルギー基地常磐炭鉱の採掘用具一式を揃えています。この展示室の最後は、河川の源である尾瀬です。水力発電ラインと併せて高山植物まで、カラー・コルトンで紹介しています。

 

(二) 部門展示

 

民俗・自然・考古・歴史美術の各々独立した展示によって構成する。部門展示は、最も関心の高いテーマで専門的な展示を行うことを目的とし、総合展示を補い、理解の深度を高めることをねらっています。

 

ア 民俗は、「福島の子どもの世界」を扱い、安産祈願から成人(十五歳ぐらい)までの間を、七歳までは神のうち・遊びをせむとや生まれけむ・小さき者の声の三つのコーナーで展示しています。幼児を神聖視することによっていつくしみ、遊びは子ども個有の生活と見なすとともに、地域社会の中で役割りを分担させ、一方成人への関門には厳しい試練を準備するなど、昔の子どもの世界をクローズアップしています。資料はすべてカラフルで、子どもは父母の時代を、親は子どもの頃を追体験する空間ということができます。近世から近現代の総合展示で民俗資料を多用したことから、民俗の部門展示では子どもの世界に焦点をしぼることができました。ここには映像展示が二つあり、一つは「子どもの遊び」で、戦前の子どもの服装で、四季の遊びを十数名で演じています。もう一つは「子どもの年中行事」で、小正月・お盆の行事を中心に、四季の年中行事で主役を演ずる子どもの姿を紹介しています。

 

イ 自然は「県土の形成」のテーマで地史を展開します。これを、県土の基盤の形成の時代・海の時代・隆起の時代・段丘形成の時代の四つのコーナーに分け、四億年前から一万年前までを展示しています。

フロアには、双葉町で発掘したクジラの化石を公開しています。周囲には、動物・植物の化石や岩石類を陳列しています。珍しいものでは、梁川町の広瀬川の河床から発掘したパレオパラドキシアの化石があります。これは、岐阜・埼玉・梁川の他はアメリカにあるだけです。この四例のうち、梁川産のものは最も保存が良好です。カバに似た両棲類の哺乳動物で、浅い海岸にすみ今から千五百万年前に、寒冷化によって絶滅したと考えられています。地史は、岩石に含まれる化石によって編年の裏付けをしてしています。その化石には、目では識別できないような微化石があります。これを顕微鏡で観察できる展示を行っています。化石・岩石は、学術資料であるばかりでなく、自然が造形した美の世界でもあることが理解できます。

 

子どもたちの楽しい行事・トリ小屋

子どもたちの楽しい行事・トリ小屋

 

双葉町で発掘されたクジラの化石

双葉町で発掘されたクジラの化石

 

梁川町で発掘されたパレオパラドキシアの化石

梁川町で発掘されたパレオパラドキシアの化石

 

ウ 考古は、自然の「段丘形成の時代」を受けて、氷河期の旧石器時代から始まる。「容器と利器の変遷」をテーマに、旧石器時代から近代までを対象としています。考古学では、土器の編年が進み、土器の型式が年表の役割りを

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。