教育福島0115号(1986年(S61)10月)-015page

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もつことから、多量の土器を壁面に取り付け、時代の変遷を実物で明らかにしょうとするものです。狩りや加工に用いられた石器をはじめ、土器の変化もまた食生活や社会の変化を間接的に反映していますから、石器や土器を年代順に並べることによって、記録のない時代や乏しい時代の年代の物差しとして用いることができます。土器の文様や型をみると、ある時期や地域に一定の約束事のあることがわかります。この約束事が土器型式で、型式によって社会のゆるやかな変化や急激な変化とその期間を知ることができます。また周辺地域との比較によって、県内に住んでいた人たちが、どの地域の人たちと交流を深めていたかを知ることができます。約三百六十点の土器による編年順の展示は、縄文から近代の陶磁器に至るまでを理解するうえで便利であるばかりでなく、先人の造形に対する美的感覚を総括的に感じとることができます。

 

エ 歴史美術は、本県の特色である仏教美術品を陳列しています。この展示室は他と異なり、伝統的な古美術品の単品陳列です。展示品は仏像を中心に仏画と仏具を、古代の仏・浄土美術と鎌倉の仏・神仏習合の美術・仏師乗円とその周辺・村の寺の五つのコーナーに分けて展示しています。ここは一定期間で展示替えを計画しており、これまで購入した美術品を順次紹介する予定です。

本県の仏教美術の遺品は、平安時代に入ると多くなり、時代を追って増加します。優れた著名な美術品のみでなく、これまで気付かなかった秀作や、村の名もない寺やお堂にある、素朴であっても土地の伝統的作風を受けついだ貴重な遺品も紹介します。

 

(三) 収蔵資料展示

 

企画展の規模にはならない展示を、速報性を生かして小規模に行うのが収蔵資料展示です。収蔵庫を一般に解放するのは保存上支障があるので、収蔵庫を展示室に持ち出した展示室として位置づけています。対象となるのは新着資料、受贈コレクション・調査収集資料・館蔵の一定テーマの一括資料です。

調査研究途上の資料や発掘調査の出土品なども、いち早く県民に紹介するための展示室ということができます。

ここには、ワーク・ショツプが付属しています。学芸員が活動する研究室や作業室を、入館者に解放するかわりに、学芸員がワーク・ショップのコーナーで、学芸活動を公開します。土器復元・民具の実測・和綴じ製本・岩石のクリーニング・拓本とり・鉄器の処理などを予定しています。

 

(四) 企画展

 

館独自の企画意図に基づいて構成する展示です。特別なテーマにより総合展示を間接的に深める展示であり、館全体の活性化を図ることを意図しています。年に四回計画し、二回は大規模なもの、二回は中規模のものを考え、小規模なものは収蔵資料展示室で行われます。将来は新聞社や他館と共催し、他県の資料や外国の資料も展示する計画です。

 

(五) 教育普及

 

体験学書室

 

博物館の展示資料は長い年月を経ているため、もろくて弱いものが多い。これを後世に伝えるのが使命であることから、展示資料に触れることは固く禁じられています。一方理解のためには、触れることも重要です。そこで、展示の一環として体験学習室を設けています。主として子どもを対象とし、身体障害者が感覚的に資料を理解できる配慮もしています。

構成は、したくと動き(戦う人々・上代の人々・路上の人々・働く人々)・玩具と遊び,(部屋で遊ぶ・縁で遊ぶ・庭で遊ぶ)・道具で試す(原始の道具・むかしの道具・ひもで結ぶ)・いろりで昔語り(民話・わらべ唄・民謡)・見る作る(機織・ムシロ織り・糸とり)・触れる(石器・土器・土偶・埴輪・仏像・岩石・民具)・むかしの灯り、と盛りだくさんです。

これを資料でいうと、鎧・素襖・直垂・峠・裳・衣揮・水干・十二単・直衣・小袖・俳人旅着・カゴかき着・霊山登拝着・武士庶民旅着・農民職人仕事着などの衣類があります。玩具では、お手玉・竹がえし・竹とんぼ・風車・コマ・ペッタペタ・ケン玉・ヨーヨー・おはじき・紙風船などです。「いろりで昔語り」は、平常はテープから選択して聞くようになっていますが、月に何回かは話者の実演を予定しています。「道具で試す」では、縄文の施文具・紡錘車・火切り・皿秤・ちきり・マス・板木・拍子木・やせうま・てんびん棒・たがら・れんじゃくなどがあります。

「見る作る」は、月に二回ていど機織り・むしろ織り・わらぞうり作り・

 

おもちゃ・体験学習室で遊べる

おもちゃ・体験学習室で遊べる

 

 

 


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