教育福島0115号(1986年(S61)10月)-022page

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て多くの人々にも理解を深めて欲しいと思いました。人間にとって、子どもにとって、一番何が重要であるか考えさせられた一日でした。

 

8) 教師の意識(教師間の反省)

障害児側はもとより、交流教育の中で、同じ生活経験を共にし、障害を持つ子どもへのさまざまな理解、又は将来、社会の一員としてのものの考え方などについて、「いたわり」「思いやり」の心情を育てる上から貴重な体験であり、人間教育の点からも是非必要であると考えられる。これら健常な子どもを通して、その家族に対し、障害児の見方、考え方の理解を深め、単なる同情ではなく、どのような手助けをしたらよいのかを、少しでも配慮できるようになれることが交流教育の目的であり、奉仕の心、思いやりの心を養うよい機会であった。

反面、障害児に対し何となく、かすかに実態をつかみかけている健常児に近寄り難い心を植えつける場合が起こり得ることもあり、理解よりも嫌悪感を持たないための指導者の指導と対処の方法等も今後の交流活動に配慮すべきであったと考える。

 

四 今後の課題

 

交流教育を進めるに当たって、領域教科、その他の教育活動との密接な関連を図りながら、好ましい人間関係を醸成し友愛の精神を育てることに焦点をあて実践してきた。指導は年間を通じて計画的になされるべきであったと考える。また、両校教師間において共通の理解を深め児童間で可能な交流活動の過程をもっと工夫する必要があったと反省している。

(一) 交流のむずかしい児童との交流をどのように進めたらよいか、今後の研究が必要である。

(二) 今回の交流を基盤として、更に交流を継続発展していくため、交流内容の精選が必要であると同時に教育課程の位置づけを工夫しなければならない。

(三) 今後は、この実績をもって、他校や地域社会との間にも「交流の輪」を広げるようにしたい。

 

福島市立吾妻中学校との合同野外活動の実践

県立盲学校

 

はじめに

 

本校では、昭和五十四年度から、学校教育の中に交流教育を位置づけ、健常児との交流を実施してきた。

養護教育交流推進事業の指定は、今回の福島市立吾妻中学校との交流で二回目である。

本校では、このほか、生徒会が主体となって、桜の聖母学院中学校との自主的な交流活動を実施するなどできるだけ多くの仲間との交流を深めるように努めている。

その成果もあり今回の指定に当たっても、中学部の教職員の共通理解のもとに吾妻中学校との協力体制を整え実施することができた。

 

一 両校のプロフィール

 

(一) 福島市立吾妻中学校

吾妻中学校は福島市庭坂にあり、市のやや西部に位置している。まわりは田園と果樹園が多く、自然環境は極めて豊かである。そのためか、生徒は、「純真素ぼくで、今、全国的に問題になっている、いじめや非行などはほとんどない」、というのが学校のほこりである。生徒会の部活動が活発で、中体連等での活躍が目ざましいがクラブ活動においても「源氏ボタルの研究」が、特に有名である。吾妻中学校は、生徒総数四百七十六名であるが今回の合同野外活動には、二年生の百四十六名が参加し、引率教員のほか地域協力者三名が参加し指導に当たった。

(二) 福島県立盲学校

盲学校は、市内中央部、信夫山のすぐふもとにある。生徒数は小学部中学部高等部合わせて八十七名、職員数六十七名で、この中から今回交流に参加したのは、中学部一年から三年までの合計十七名である。このほか地域協力者三名、引率教員九名が指導に当たった。

 

パズルの国

パズルの国

 

二 交流教育のねらい

 

今回の交流教育では、次の四項目を特に強調した。

(一) 視覚障害者と健常児との交流を通

 

三十一ぺージヘつづく

 

 

 


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