教育福島0115号(1986年(S61)10月)-040page

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研究実践レポート

 

子どもの追究活動を促す社会科学習

郡山市立安積第一小学校教諭

相楽 正人

 

−解説−

 

本論文は、六十年度教職員研究論文入選作です。児童が興味・関心を示し、学習に意欲的に取り組む追究活動の在り方についての独創的な手法をまとめたもので、その成果が評価を得たものです。

 

一、主題設定の理由

 

これまで社会科の授業というと、学習指導要領の目標をうけて指導書を読み、単元の指導計画を立てて、一単位時間一学習課題で展開すれば、学習が効果的に進められると考えていた。しかし、教師側でいくら単元の系統生を把握できても、教師主導の授業では、児童自らが追究していく授業は成立しない。

また、「児童側に立つ」ということについて観念的には理解できても具体的なイメージとして、手だてと結びつけて考えることができなかった。そのために児童の理解が表面的で、学習に対する取り組みも消極的であった。

そこで、一小単元一中心概念による授業展開を基本にしながら、児童の学習に対する欲求(○○を調べてみたい)に応じられるような指導計画・手だてを模索してみたいと考え、標記の主題を設定した。

 

二、仮設の設定と研究の概要

 

一年次の反省(一小単元一中心概念の形式だけをまねた授業では、児童の追究意欲が持続しない。一をふまえ、児童が「楽しく学習できる授業」をめざして、次の仮説を設定した。

 

学習過程に社会科的遊びを取り入れ、次のような手だてで事実認識から関係認識まで導くことができれば、追究意欲を高めることができ、より効果的に個々の力を伸ばすことができるであろう。

 

(1) 課題決定の段階で、ひとり調べの発表をもとに自分の考えを整理させる。

●友だちの発表が自分の下調べと同じ場合……青線を引く。

●友だちの発表の中で参考にしたいもの……メモをとる。

(2) 関係把握のための考える時間を基本的指導過程に意図的に組み入れるとともに、学習のまとめ方を工夫させる。

●学習のまとめをイラストや文章でノートに書き表す。

 

(一) 仮説についての説明

(1) 「社会科的遊び」

「学習」とは、児童が教材を使って、具体的な目標に向かって意図的に活動することである。

「遊び」とは、児童が自己の行動そのものに目標をもち、楽しく没入することである。

「社会科的遊び」とは、児童が教材を使い、具体的目標に向かって意図的、に行動しているうちに、その行動のそれぞれの段階において、目標を忘れ、行動そのものに深く没入することである。したがって、「社会科的遊び」は、「学習」と「遊び」の相乗積であるということができる。(筑波大附小研究紀要巻三十七)

この考え方に立って、本研究では、まとめのイラスト・マンガ年表・歴史新聞・案内原稿に絞って、実践を試みた。

(2) 「追究意欲」

歴史上の人物や歴史的事実に対してその子なりに抱いた疑問を、事実事象の関係に注目しながら、グループ学習、全体学習の中で解決していこうとしたり、もっと深く考えていこうとすることととらえた。

(二) 指導の重点

(1) 「豆記者歴史リポート」の実施

調べ学習をより目的的なものにしていきたいという理由から、予習プリントの活用を図る。(略)

この場合、児童が必ずしも学習目標に対して、的確な判断が持てるとはかぎらないが、むしろ、分からない点を明確にするところに意味があると考えた。

(2) 「基本的指導過程」の設定

授業の組み立てを一単位時間に限定せず、調べ学習との関連を図りながら、授業の前後まで含めて設定した。これを基本としながら、指導計画についても練り上げを図っていく。 (略)

(3) 「マンガ年表」の作成(資料1)

児童が楽しみながら年表づくりができ、しかも、それが復習につながるものということで、イラストや吹き出し

 

 

 


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