教育福島0115号(1986年(S61)10月)-042page
研究実践レポート
生徒が主体的に学習する意志・態度・能力の育成
いわき市立好間中学校教諭
飯間香保子
−解説−
本論文は、六十年度教職員研究論文入選作です。生徒一人一人が主体的に学習するために、同一課題をそれぞれ異なる素材で解決させたり、個に応じた学習課題を設定し探究させるなどの個別化、個性化を図ったすぐれた研究です。
一、研究の趣旨
理科教育において、自然に対する探究の扉は「驚きと感動」に支えられた意欲によって開かれると考えられる。
そのためには、日々の授業の中で、指導の方法をどう改善すべきかを徹底的に追究して、教材の本質をみきわめ、どのような場を設定すれば、生徒一人一人が教材に興味をもち、それが探究意欲にかわっていくかを研究する必要がある。
また、一時間一時間の授業の中に、もっと探究的な学習を取り入れたり、このような学習の場を特設したりして自己実現を図る必要がある。それが、軌道にのれば、ここで得た学習能力は、他の事物・現象の探究活動に転移できるものと考えられる。
このことは、最終的に「人間としてどう生きぬくかを考える」意志や態度をはぐくむ基礎になると考える。
二、仮説
同一課題をそれぞれ異なる素材で解決させたり、学習内容の一般化を図る段階で能力に応じた課題で探究活動をさせれば、生徒一人一人が主体的で感動に支えられた活動が期待できる。
三、研究の概要
手だてとして、次のA型・B型の二つの学習形態を考え、単元の指導過程の中に位置づける。
四、指導計画
(1)一・二年次………単元の内容により、研究の概要に述べたA型・B型を位置づける。A型(生物の世界・星の世界・物質と原子など)、B型(力のはたらき.・電流・人間と自然など)
(2)三年次………一・二年次の単元もふくめて全単元を対象にB型を実践。
五、研究の実践
実践例1 A型.一年二分野
「生物の世界」
本校が、県学校緑化推進校に指定されたことを機会に、理科教育の特性を生かして「生命の尊さ」「豊かな心情」を育むための具体的な指導形態として授業の中に取り入れた。(昭和57・58年度)
理科の目標「観察・実験などを通して、自然を調べる能力や態度を育てるとともに、自然の事物・現象についての理解を深め、自然と人間とのかかわりについて認識させること」をめざし、自己学習課題探究の時間を設定して、より意欲的にとりくめるよう工夫した。
なお、本単元の指導に当たっては、次のようなことに重点をおいて指導にあたった。
(1) 教科書の観察・実験の重視、教材の精選
(2) 基礎・基本の徹底指導
理科の授業を進める飯間香保子先生