教育福島0115号(1986年(S61)10月)-047page

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これ以外にも、一日の出来事、考え意見等を自由に書かせて、教師もコメントをつけてやりとりする「生徒と教師を結ぶ日記帳」を通して、生徒と教師の信頼関係を強めています。

これらのことは目新しいものや特別なものはありません。要は、子どもたちを見つめる、理解する、そして育てるという地道な指導を教員全部が理解し、実践していくということが大事であると考えているのです。そして、これらの実践が、本校生のボランティア活動や夏休みの選択課題方式学習といった実をあげてきたのだと思います。

 

表1 実態に応じた生徒の行動観察項目

・授業に意欲をなくし、集中力がなくなってきた。

・休憩時間や放課後、1人でいることが多い。

・日誌、ノートなどに不安・悩みなどを訴える。

・保健室に出入りすることが多くなってきた。

・用もないのによく職員室前をうろつく

・いつもおどおどしている。

・理由のはっきりしない打撲や傷跡がある。

・生気なく、気持ちが沈んでいる。

・教師をさけるようになってきた。

・グループから急に離れたり、交友関係が変化した。

・常に友達の言いなりになっている。

・衣服の汚れが見られるようになる。

・新しい持物や教科書・ノートにいたずらされる。

・カバンやズック等が、かくされる。

・机やいすが汚されたり壊されたりしている。

・委員長や班長等の責任者の仕事を突然やめる。

・人格を無視されるようなあだ名がつけられている。

・いつも遊んでいる友人と遊ばなくなった。

・答えたり、意見を述べるとやじられる。

・食欲がなかったり、腹痛や吐き気を訴える。

・正しい意見なのに支持されない。

・正しい意見なのに「へー」とやじられる。

・ほめるとちょう笑されたり、シラケたりする。

・ほめると「何であんなやつをほめて」とケチをつけられる。

・そのグループでないのに一緒にトイレ等から出てくる。

・事件がおこると、いつも名前があげられる。

・「あいつは学校に来ないほうがいい」と批判される。

・仕事をたのむと、いつもふざけ半分に名前を言われる。

・「クラスの恥」と批判される。

・刃物を持ち歩いている。

・1人で遅れて教室に入ってくる。

・授業の始めに前時の学習用具を片づけている。

・持ち物をこわされたりする。

・怪我・コブ・アザ・鼻血などを出している。

・友達が急に変わる。

・急に感情が不安定になる。

・特定の友達に強い憎しみを表す。

・ノートや教科書にいやがらせの落書き

 

継続は力なり

「小さな、心に夢かける」家庭クラブ

県立若松女子高等学校

 

昭和二十七年、本校に学校家庭クラブが組織されました。最初は生徒会の食物・被服・茶道部員で構成され、同年、会津地区高等学校家庭クラブ連盟に、翌二十八年に福島県高等学校家庭クラブ連盟に加盟しました。以来全校あげて、いろいろな特色ある活動を続けてきています。

昭和五十四年には保育の授業がきっかけで、子どもたちのことを、もっと知りたい、手作りの人形劇や、紙芝居を見せてやりたいと考えた生徒たちによって児童文化研究班が生まれました

そして今日まで、数多くの紙芝居、指人形、ぺープサート、かぶり人形、あやつり人形などを作成し、公演をしてきました。製作には数か月から、長い時は半年もかけています。

 

・この次はもっと……

−−生徒に芽ばえた愛する心

 

地域の保育所、児童館、猪苗代養護学校を訪問し、その回数は七十回にも及んでいます。今では子どもたちが、「若女のお姉ちゃんたち」と、心待ちにしてくれるようになりました。苦心しながら製作したものを携え、劇を演じた時、子どもたちは食い入るようなまなざしで見つめ、歓声をあげて喜び、時には舞台まで身を乗り出して興味を示してくれます。この度の養護学校訪問では、生徒の代表が家庭クラブ員に、手作りの花束をプレゼントしてくれました。不自由な身体に渾身の力をこめ、自力で一生懸命歩き、近づいてくる生徒の姿にクラブ員は生きることの厳しさと美しさを見、感激で胸を熱くしました。そして、この次はもっと喜こんでもらえる、よいものを作りあげようと決意を新たにしています。

 

・ 認められた地道な努力

−クラブ員を動かす四つの精神「創造・勤労・愛情・奉仕」

 

今年は今まで続けてきた実践活動をまとめ、学校家庭クラブの県大会で発表し、県代表として東北大会に出場しました。長い間、先輩から受け継ぎ、地道に研究活動を続けた実績が認められ、学校家庭クラブ活動(共通題)の部門で東北代表に選ばれ全国大会に出場しました。研究班員の自信に満ちた生き生きした訪問の一コマを、スライド、紙芝居、手遊びのゲーム、「狼と七匹の小やぎ」のかぶり人形などを使って再現しました。指人形、ぺープサート、影絵なども紹介しました。大きく動きのある斬新な発表に、広い会場を埋めた参会者に「小さな心に夢かけ」の題の主旨が理解され、最優秀賞である文部大臣賞を受賞することができました。

 

保育所をたずねて…若松女子高等学校の生徒たち

保育所をたずねて…若松女子高等学校の生徒たち

 

 

 


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