教育福島0116号(1986年(S61)11月)-013page
表1−3病院、診療所の患者数の推移 (単位:千人)
資料:厚生省統計情報部「昭和57年患者調査」
(注)
1.患者数は、調査日当日医療機関で受療した患者の数(全国推計)
2.( )は、昭和40年=100とした場合の指数
三 まとめ
以上、医療給付の実態とその係わりの面での医療供給の実態をみてきたが、その中でいくつかの問題点を知ることができた。二つの医療保険制度の改革で本人・家族ともに大幅に受診率は下がったが本当の罹病の姿はどうなのか。全国平均に比較し、本県教職員とその家族の医療給付単価、受診率ともに高率となっているが、なぜなのか。年齢構成が全国平均より高年齢者が多いのか、風土、地域性等による罹病率への影響か、或は医療機関・医療供給体制等との係わりなのか。全国的分析解明が必要であるが取りあえず本県独自の分析はできないか。月別給付状況においても毎年同じパターンで高受診の月があるのはなぜなのか。長期休業中の治療や風邪等と推測されるが、或いは教職員だけの特殊性なのか。これらの現状、問題点等を踏まえ、福利課では五十九年度企画係を新設、当面する諸問題の研究の一端として、医療費分析調査を始めることとした、共済組合員(互助会員)とその家族について医療給付の状況を調査し、今後の福利厚生事業の健全な運営を図るとともに、組合員自身の健康管理にも役立てるための基礎資料の作成である。
現在、教職員の福利厚生の重点として県・共済組合・互助会の三者一体となり、人間ドック等の健康管理事業ならびにレクリェーション等の健康増進事業等を進めているが、今後は医療費分析結果を踏まえて、早期治療のための事業の見直しを図り、適切な対応に取り組む必要があろう。
次に医療供給面については、福島県においても、地域医療計画の策定がすすめられている。医療需要の増大に適切に対応し、望ましい医療供給を確保し包括的、継続的、合理的な供給体制を確立するため、医療制度の見直しの第一歩として医療施設相互の機能連係を確保するとともに無秩序な病院・病床の増加のコントロールを図り地域医療のシステム化を推進する等地域による医療格差是正等をめ、ざすもので、今後の動きが期待されるところである。
福島県には教職員とその家族が約五万人いる。福利課は、その方々の健康管理をあずかっているわけであるが、今後とも身心ともに健康な教職員と家族づくりになお一層の努力をしていきたいと考えているところである。
高度先進医療について
従来、自由診療であったがんの温熱療法や動脈瘤の脳血管内手術などが一定の条件のもとに保険診療として認められることとなったが、まだ一般に知られていない状況にあるのでここに紹介したい。
(1)特定療養費制度について
近年の医学医術のめざましい進歩発展に伴う新しい医療技術の出現や患者ニーズの多様化等は、保険診療と保険外診療との調整の必要をもたらした。特定療養費制度は、このような見地から検討されたもので、昭和五十九年十月の健康保険法等の一部改正において、新しく制度化されたものである。その内容は従来の医療保険制度では保険診療と保険外診療とが混在することは認めておらず、一連の診療の中に保険外診療が入るとその診療は、本来、保険給付の対象に入っているものも含めて原則と