教育福島0116号(1986年(S61)11月)-031page
文化財の保護
一、文化財の指定
文化的遺産を大切に保存し、広くその活用を図ることは文化振興に欠くことのできない大事なことである。
そのため、文化財を指定し、これを一般に公開する等その文化的活用を図るとともに保存に努めているところである。
国、県及び市町村の文化財指定件数は表7のとおりである。
二、文化財保護審議会
県文化財保護審議会(会長 山口弥一郎)は、現在十五名の委員で構成され、県教育委員会の諮問に応じて文化財の保存及び活用に関する重要事項について審議を行うため設けられている、
本年三月、同審議会から文化財に指定する旨の答申があり、本年三月三十一日付で指定を行った文化財は表8のとおりである。
三、文化財基礎調査(山岳信仰調査一
文化財の保護と指定推進等の資料とするため年次計画により種別ごとに悉皆調査を行っているが、昭和六十一年度より三年継続で山岳信仰調査を実施している。
日本古来の信仰である山岳信仰は、山岳修行者によって修験道という独自の信仰にまで発展し、社寺はもとより通過儀礼にまで大きな影響を与えたが、明治初年の修験道廃止によりその信仰は急速に衰微し、学術的にも高い価値を有する遺品は四散の危機にある。
本調査は、これらの遺品とその習俗を悉皆調査し、遺品の所在確認と記録保存を図るものである。
昭和六十一年度 中通り、浜通り悉皆調査
昭和六十二年度 会津地域悉皆調査中・浜通りの二次
調査
昭和六十三年度 会津地方の二次調査、報告書刊行
四、民俗文化財調査(諸職調査)
県内各地に伝承されてきた生活用具、用品等を製作する伝統的技術は、地域に根差した無形の民俗文化財として、また優れた工芸技術の基盤をなすものとして価値の高いものであるが、近年の新しい素材や技術の開発と生活様式の変化に伴って急速に衰微しつつある。
本調査は、これらの技術をもった様々な職種、技術の実態とその変遷を調査し、記録保存を図るものである。
昭和六十年度より二年継続で調査を実施しており、昨年度においては、九
表7 国・県・市町村指定文化財種別 覧 昭和61年10月31日現在(単位:件)
(注)市町村指定文化財については61年5月1日現在の件数
表8 昭和60年度県指定文化財指定一覧表
合計 9件 内訳 県指定重要文化財 7件 県指定重要無形民俗文化財 1件 県指定史跡 1件