教育福島0116号(1986年(S61)11月)-036page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

研究実践レポート

 

生徒が意欲的に学習にとりくむための

理科指導の実践

 

いわき市立四倉中学校教諭

赤木鎮男

 

−解説−

 

本論文は、六十年度教職員研究論文入選作です。野外観察学習や生徒企画実験などにより、生徒自身が自然の事象に直接働きかけ、創造的活動を誘発させる授業を着実に実践した記録である。特に、地域素材の活用に見るべきものがあります。

 

一、実践研究の趣旨

 

海岸とそこに生育する海浜植物や防潮松林に囲まれた中に四倉中学校がある。一年の最初の単元「身のまわりの生物の観察」で野外観察を実施した。

防潮松林の小路を通り、海浜植物や小動物の観察をした。その時の生徒たちの姿は実に生き生きとして、見るもの触れるものへの興味関心はすばらしかった。学問的な知識はないが野性的な観察力は私も教えられることが多くあった。この恵まれた自然環境を授業の場として、身近な自然を教材に活用していく必要があると考えた。

自分の目で自然を正しく見、判断できるように育てたい。そのためには教師が自然の事象に直接働きかける活動を計画的に取り入れて、生徒の創造的活動を誘発させるようなはたらきかけに工夫を加えて授業をすれば、生徒は意欲的に自分の問題として課題に取り組み「考える力」が育成されるのではないかと考えたっそのためには「楽しく、わかる授業」の実践を図り、やる気を起こさせることだと考えてこの研究に取り組んでみた。

 

二、研究実践の構想

 

(一) 自然を調べる力の育成として

野外観察の実施を年間指導計画に位置づけ、資料の収集と教材化を図る。

(二) 自然の事物現象の意外性に気ずく力の育成として

問題意識を喚起させるための事象提示や教材教具の工夫を図る。

(三) 自然の事物現象を主体的に探究する力の育成として

生徒の企画実験を年間指導計画に位置づけて、その実践を図る。以上三つの「考える力の育成」を基本に、楽しく、わかる授業をめざして実践記録の累積をする。

更に、授業外の実践活動として、

(1) 夏休みの自由研究として、一人一研究の奨励を図り、作品展示会を行う。

(2) 学習展示コーナーの設置活動を図る。

(3) 科学部を新設し、理科の本質的な研究のあり方を体得させ、生徒全体への関心を深め、科学する心を向上させる。

 

三、授業の実践

 

三、授業の実践

 

(一) 野外観察学習の実施と資料の収集と教材化

実践例1) 「水中の微生物」 (一年)

この単元では海洋プランクトンも授業に取り入れて、顕微鏡観察から顕微鏡写真へと技術的な説明と指導をしたところ、大きな興味をもち、お墓の花入れの水や家の防火用水槽の水、水田や池の水などの微生物を三年間も研究して、日本学生科学賞中央審査で入選、

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。