教育福島0118号(1987年(S62)01月)-036page
指導が十分でなかった。S子の場合学業不振が解決されず、劣等感をむつ要因になったと考えられる。
三 S子への援助・指導の実際
(一) 日常生活全般での援助・指導
日常生活全般では、教師からS子への説諭など治療的な指導をするのではなく、S子との会話や教育相談の場と機会を多くし、S子自身に白分の悩みや苦しみ、あせりなどの気持ちを語らせることによって心の安定を図ることに努めてきた。
特に、朝夕のあいさつ、休み時間や給食時、放課後のかたりかけ、それに日記による毎日の教育相談には力をいれ実践してきた。
(二) 教科指導を中心とした援助・指導
学業不振も問題行動の要因と考えられるので、S子のような児童を授業の中でどう生かしたらよいか、特に次の事に力をいれてきた。
1)学習訓練を通して基本的な学習習慣を身につけさせようとした。
2)授業中、意図的な指名によって発言発表の機会を与え、S子の老えを認めることを積み重ねてきた
3)事前調査で学習内容に対するS子のつまずきを把握し、わかる授業の実践に努めてきた。
4)取り扱り単元や授業の展開に応じて、小集団による活動を取り入れ、みんなで考える楽しい授業の実践に努めてきた。
(三) 特別活動を中心とした援助・指導
S子が興味をもっている活動やS子の能力でやり通せる仕事をさせ、成就感や満足感が味わえるようにするとともに、集団に寄与したという自分の存在感を感得できるようにしてきた。
学級会活動では新聞係に所属し、集会活動では、運営委員として活動した。
児童会活動では自ら学芸委員会委員長になったが、能力的に及ばない面が多くみられたので、教師の助言をもとにS子がやり通せるよう配慮した。
学級指導では、特に、基本的生活習慣の形成と適応指導に重点をおき、やはり学級指導を中心とした生徒指導を研究テーマにしている学校の共同研究との関連を図りながら授業を実践してきた。
(四) 課外活動を中心とした援助・指導
課外活動を中心とした援助・指導においてもS子が興味をもっている活動に参加させ、満足感や集団生活での助け合いのすばらしさを感じとらせるようにした。
S子は、町内体育祭、水泳大会と合唱の活動に参加し、競技会やコンクールに出場した。競技大会やコンクールでの成績は決してよいものではなかったが、練習過程のがんばりや努力を認めるようにした。
校外の活動についてもS子が最も興味をもっていたスポーツ少年団剣道への参加を勧めた。(以上資料3)
四 S子への援助・指導をより確かにする実践
S子への援助・指導をより確かなものにするため、特に、学級づくり、家庭との連携、校内の共通理解、外部機関の指導要請などに力をいれた。その主なものは、次のとおりである。
(一) S子の立ちなおりを支える学級集団づくり
1) 共に協力し合い、自分たちの共通
資料2 児童理解の実践例
学級集会活動で満足顔の子どもたち