教育福島0119号(1987年(S62)02月)-038page

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特選入賞論文

 

一人一人が心(感動)を素直に表現するには

−詩の指導を通して−

 

川俣町立小島小学校教諭

高 島 良 子

 

立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文に応募、特選に入選したものです。

 

本論文は、昭和六十一年度公立幼稚園・小・中・養護学校教職員研究論文に応募、特選に入選したものです。

自分の担任した児童たちに限りない愛情を注ぎ、ものの感じ方、表現の仕方について、どんな言葉を用いればよいのかを「詩の指導」を通して体得させていった優れた記録です。

 

はじめに

 

山々に囲まれた農村部に育った子供達に初めて会った時、「なんと純粋で素朴で素直なのだろう」と感心しました。しかし、話し合ってみると、意外にテレビ・雑誌等の影響を受けた言葉が多く、児童が、体や心で感じたことを、素直に表現できないでいました。

授業で、「さくら」という題で言葉あつめをしても、「木」「花見」「花が散る」ぐらいの反応が返ってくるだけでした。私は心の中に、何とも言えぬ寂しさを感じました。どうにかして、この地域に育った児童の持っている素朴で純真な心を言葉に表現させることはできないだろうかと思い悩みました。

そこで、児童の最も抵抗の少ない詩的作文に自分自身の心を表現させてみようと考えました。

 

一 研究主題設定の理由

 

授業や生活場面で児童の自己表現力が乏しいことを、学級担任として苦慮していた。少人数である児童一人一人を理解し、素直に自分の考え・感動を表現できる児童に育てたいと考えた。

そこで、一人一人の心に感動をよびおこす詩が、表現できれば、自己表現力が豊かになるだろうと考え、この研究に取り組んだ。

さらに、主題設定の理由から、次のような望ましい児童像を設定した。

 

望ましい児童像

 

1)詩の取材の内容をひろくとらえて表現できる子

2)考えや感情を素直に詩に表現できる子

3)感情をこめて詩が朗読できる子

 

二 研究仮説

 

一人一人の児童が、体験したこと、感じとったことを取材化し、それを構成、推敲し表現していけば、詩を書く力が身につくであろう。

 

三 研究内容と方法

 

(一) 詩を作成するための基本的表現形

式の指導

1) 詩と作文のちがいの指導

2) 音声表現による感情表出方法の指導

3) 基本的なノートづくり

(二) 詩をつくる素材の観察の仕方及び表現工夫の指導

1) 感動のあるものを取材化する指導

2) 自己の感情状態を意識させ再生させる指導

3) 「推敲の観点」から自作品を推敲させる指導

(三) 多くの児童の発表機会の設定

1) 授業での場を意図的に行う。

2) 学級経営の一端として、発表の機会をつくる。

3) 外部への投稿

(四) 発展的指導の展開

1) 個性の伸長を図る指導の強化

2) 他領域・他教科への発展 (長文・絵画指導・合科的指導)

 

四 研究実践の概要

 

(一) 研究内容と方法(一)の実践概要について

○ 詩を作成するための基本的表現形式の指導をする。

○ 詩教材と文学教材の国語科の授業

 

「詩を読もう」の授業風景

「詩を読もう」の授業風景

 

 

 


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