教育福島0123号(1987年(S62)08月)-012page
教科・道徳、特別活動の内容の基礎的、基本的事項を明らかにするとともに、それらを一人一人の児童生徒にしっかり身につけさせる指導が行われるよう配慮することが大切である。
特に、基礎的な内容の確実な習得は、発展的、創造的な学習の素地を養うものであり、その指導の工夫が一層望まれるところである。
エ、教育活動に創意と工夫をこらす。
児童生徒は、学習において、自ら進んで課題を追求し、分かる喜びを体験したとき、成就感・達成感を持ち、主体的に学ぶ意欲を高めることになる。
また、学級や学校全体の集団の中で、何らかの役割を果たし、教師も含む集団の中で認められ、学校生活に適応して自己実現が図られたとき生きがいを持ち、主体的に学校生活が送れるようになる。従って、児童生徒にとって何が価値ある体験なのかを十分吟味し、学校の特性と創意を生かした教育活動を計画することが大切である。
2、教育課程の実施
教育課程を効果的に実施していくためには、次の点に留意することが必要である。
ア、好ましい人間関係を基盤として、生徒指導の充実を図る。
好ましい学級集団に育てていくために、愛情と信頼を基盤として、教師は児童生徒の中に積極的にとけ込み、一人一人の児童生徒をよく理解し人間的なふれ合いを密にして、生徒指導の充実を図っていくことが大切である。
イ、特別活動を重視し、活動の組織化を図る。
特別活動は児童生徒の実態に応じて、創意をこらす余地が他領域に比べて非常に大きい。従って児童(生徒)活動、学校行事、学級指導の三つのそれぞれの教育活動の意義を正しく理解し、その特質を十分生かしながら相互の関連を図って実施していく必要がある。
更に、地域の特性や学校の独自性を十分生かし、望ましい集団活動を通して児童生徒の自主的、実践的態度の育成を図らなければならない。
ウ 個を生かし、意欲的に取り組む授業を展開する。
児童生徒にとって学校生活の大部分は授業である。従って、授業の一層の充実を図らなければならないのは当然のことである。
学習は本来、児童生徒一人一人に成立しなければならないものであるから、授業を充実させるための第一の要件は、授業における個への対応である。一斉指導の授業であっても、児童生徒一人・一人をよくとらえ、適切に対応して、個が伸びていけるよう、学習の個別化を大切にしなければならない。第二の要件は、児童生徒が生き生きとして意欲的に取り組む授業づくりである。
そのためには、目標を効果的に達成するための教材の開発や学習過程の工夫、目当てのとらえさせ方、学習の仕方、学習のまとめ方と自己評価の仕方の指導、また、作業や操作的活動、観察・見学、グループ学習などの多様な学習活動を適切に取り入れることが大切である。
3、教育課程の評価と改善
学校の創意工夫を生かした教育課程の編成・実施が期待されている現在、各学校では、教育課程の充実のために、従来以上に教育課程の評価と改善に努めなければならない。
(1) 教育課程の評価と改善の具体的な考え方
教育課程は学校教育の全領域に及ぶ教育計画である。従って、評価の対象領域が広いため、漠然とした評価になりやすい傾向がある。
そこで教育課程の評価は、ねらい、時期、方法等を明確にして実施し、分析・検討して改善を考えなければならない。
評価の具体的方法は、学校の規模、特色等により、多様に工夫されるべきものであり、各学校の創意ある実践が待たれるところである。
評価を進めるに当たっては、次の点に留意することが大切である。
ア 全教師が協力して、組織的に進めること。
評価にあたっては、各学校の分掌機能を十分生かし、できるだけ多くの教師の意見が反映されるよう心がける。
イ 計画を立てて積極的に進めること。
そのためには、手順、日程を明確にして年間計画に位置づけ、全教師の共通理解を図っておく。
ウ、客観的な資料を収集して進めること。
エ、評価のしゃすい、より具体的な到達目標を設定して進めること。
(2) 改善への手だて
学校における教育の成果を高めるために、評価の結果に基づいて教育課程を適正なものに改善しなければならない。
一般的な改善の手だては、次のとおりである。
ア、評価結果の分析と考察をする。
イ、改善の視点を決定し、重みづけをする。
ウ、早急に改善すべき事項と長期にわたって計画的に改善すべき事項を明確にする。
エ 改善への方策を決定する。
オ 改善の作業をする。
改善のための留意点としては、次のことがあげられる。
ア 教育課程の改善計画を学校経営の