教育福島0123号(1987年(S62)08月)-013page
中に位置づける。
イ 教育課程改善のための組織を工夫し、よく機能させる。
ウ 教育課程の評価の結果に基づいて改善の方針を立てる。
エ 教育課程の改善事項を検討し、改善の具体策を作成する。
オ 教育課程を志向し、年間を通して実施する。
三 学習指導の質的改善
よい授業とは、次のような気持ちが授業中や授業後に多くの児童生徒の頭をよぎる授業であるといわれる。
「よく分かった。」
「とても楽しかった。」
「先生や友人に認めてもらえた。」
「いろいろな考え方を勉強してよかった。」
「とても楽しかった。」
「授業時間が短く感じた。」
「授業の続きをもっと調べてみたい。」
教師はだれでも、自らの授業がよい授業になることを願って教室に立つ。しかし願いどおりにはいかず、「授業がわからない」とか「授業がおもしろくない」といった声が聞かれる。
それでは、どのようにしたらよい授業ができるのであろうか。よい授業を目指すためのいくつかの視点を取り上げてみる。
1、主体性を高める授業
今、教師に求められていることは、児童生徒のわかりたい、できるようになりたいという願いや欲求を刺激し、これを発揮させる手だてや場の設定を追究することであり、それらを通して主体生を高める授業の創造に努めることである。
(1) 学習意欲の喚起
主体的な学習の成立にとって大切なことは、児童生徒の学習への意欲である。児童生徒の学習意欲を喚起し、持続させる方法はいろいろ考えられるが、授業の展開においては、特に次の点が重要である。
1) 学習への動機づけの工夫
学習の主体者は児童生徒にほかならないことを踏まえ、その知的好奇心に働きかけることにより、児童生徒がやる気になり、学習したくてたまらなくなるような状態にすることである。児童生徒をやる気にさせることは、教師の大事なつとめである。やる気こそは、主体的な学習の源である。やる気を起こさせるためには次のことが重要である。
ア、児童生徒の心を強くゆさぶる事物事象、現象、話題等に出会わせ、「おや、あれ、へんだな、どうしてだろう」など、強い驚き、矛盾、疑問、葛藤などをひき起こすこと。
イ、書く、話し合う、実演するなどの方法により、問題を明確にし、「手に入れたい」、「調べてみたい」、「やってみたい」などの意識を高めること。
学習のスタートにおいて、児童生徒の意識をこのような姿にまで高めるため、教師は
○ 児童生徒の興味、関心を十分把握すること。
○ 児童生徒の既有の経験、学力の実態を十分把握すること。
○ 児童生徒の意欲を誘発させる教材の開発、提示の仕方等を工夫すること等に努める必要がある。
2) 成就感、達成感の体得
「分かった」、「できた」等の喜びを味わうことができたとき、児童生徒は成就感、達成感をもつ。この体験が次の問題解決の際のバネとなり、積極的に取り組む力となる。
したがって、授業の展開に当たって、教師は、児童生徒がどのようなことができるようになればよいのか、到達目標を行動目標の形で設定しておくことが大切である。これが評価基準となって、児童生徒が本時のねらいに到達したかどうか、つまり成功したかどうかを容易に判断でき、その場で成功感をもたせるような働きかけが可能になるのである。
3) 認められたい欲求の重視
児童生徒はだれでも、教師や学級集団から認められたいという欲求をもっている。したがって、児童生徒の内面的な願いに応えてやることは、学習意欲をひき起こさせるうえで重要である。
これには教師の姿勢が何といっても大切である。児童生徒一人一人の性格適性、能力などに応じた気くばり、目くばり、手くばりなどを適宜行い、賞賛や激励、あるいは戒めの言葉や厳しい指導、助言をしていくことである。
また、児童生徒同志が他人の考えを尊重し、助け合い、励まし合いながら真剣に学習に取り組む雰囲気を醸成することが大切である。そして、共に学び、共に成長する喜びを味わわせるようにする。
(2) 学習の仕方の学習
主体的な学習が成立するためには、児童生徒が「学習の仕方」を身につけていなければならない。そして、教師は、学習の仕方を児童生徒の発達段階に応じて発展的、系統的に積み上げていく配慮が大切である。
ここでいう学習の仕方とは、「学ぶ力」をつけさせるための学習の手順や方法などである。ともすると、教師が教え込むための学習訓練、例えば「挙手の仕方」、「起立の仕方」等と短絡的に考えがちであるが、ここで考えたいことは、児童生徒が自ら学んでいくための手段・方法の学習の在り方である。
1) 学習の手順の学習
「学習の仕方」の学習には、まず、どんな順序で学習すればよいかという「手順」にかかわるものがある。