教育福島0123号(1987年(S62)08月)-015page

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理解の徹底を図る。

3) 児童生徒一人一人の到達の段階やつまずきの状況を把握する。

4) つまずきの原因を探り、治療指導の徹底を図る。

5) 反復の機会を授業の終末などに設定し、学習内容の定着に努める。また、補充指導などを効果的に行う。

児童生徒の発達段階や生活経験をふまえ、実物ないし本物教育あるいは体験的学習をより多く取り入れて、学習の定着を図るように努めていくことが大切である。

 

3、評価を生かす指導

 

評価を授業改善に生かす研究は年々さかんになってきているが、児童生徒一人一人を生かす評価の在り方については、さらに研究を深める必要がある。日々の評価においては、次の点に留意することが大切である。

1) 自己評価は、主体的に学習を進めるためのものになっているか。

2) 相互評価はへ共に認め合い、高め合うためのものになっているか。

3) 形成的評価は、達成やつまずきの状況を的確にとらえ、児童生徒一人一人を伸ばすものになっているか。

4) 総括的評価は、多様な方法で行われ、児童生徒一人一人の理解や伸長に役立つものになっているか。

5) 観点別達成度評価は、適切な達成目標のもとで、児童生徒一人一人の理解や伸長を図るものになっているか。

 

四、道徳教育の充実

 

近年の急激な社会の変化は、今日の児童生徒の意識や行動に深い影響を及ぼしている。特に、いじめ、自殺等の問題行動の原因や背景には、生命尊重の態度や他人に対する思いやりの心の欠如、自主性に乏しく責任感や社会的規範意識の希薄、また基本的生活習慣も十分に身に付いていないなど、道徳性がしっかり育っていなことが上げられる。これらの実態を踏まえ、今後の道徳教育の在り方について、一層充実と改善に努めることが大切である。

 

1、道徳教育実践上の課題

 

ア、学校における道徳教育は、学校教育全体で行うことを原則としている。

道徳教育は、自校の教育目標の具現を目指すものであるから、全教師が学校や地域の実態、児童生徒の発達段階や特性を的確にとらえるとともに、道徳教育上の問題点を明らかにし、その改善、充実に努める。

イ、各学校における、道徳教育全体計画を学校教育目標具現の観点から全教師で見直し、学校経営の中に正しく位置づけるように努める。

ウ、道徳教育を進めるに当たっては、教師と児童生徒、児童生徒相互の人間関係を深めるとともに、家庭や地域社会との連携を図りながら、日常生活の基本的行動様式をはじめとする道徳的実践の機会の拡充と指導の充実に努める。

エ、道徳の時間の年間指導計画が、学校の全教師の共通理解と協力のもとに作成され、全体計画に基づいて道徳の時間の指導方針や道徳教育の重点、各学年の指導の重点等がそれぞれ明確になるように努める。

オ、道徳の時間は、児童生徒が、より高められた価値観に照らして、今までの自分はどうであったかをみつめる時間(道徳的価値を主体的に自覚させる時間)ととらえ、各教科及び特別活動における道徳教育と密接な関連づけを図りながら、指導内容を構造化、重点化し、計画的、発展的な指導の充実に努める。

カ、道徳の時間の指導の充実を図るため、指導内容や指導方法についての実践と研究を深める。ねらいとする道徳的価値を明確にし、児童生徒の意識の流れと資料とのかかわりやそれに対する教師の発問など、指導過程を有機的に構成して、児童生徒が、より高められた価値観に照らして自己をよく見つめ、自己理解を深めるとともに、望ましい道徳性が身につように努める。

 

2、道徳的実践の指導

 

学校の教育活動全体を通じて行われる道徳教育は、学校生活の随時随所で行われることが大切である。また、その充実のためには具体的場面において繰り返し指導することであり、道徳的実践の徹底を図ることが大切である。

人間の行為はだれでも一定の動機に基づいて行われる。行為がいかに良さそうに見えても、そのときの動機が悪ければ、その一連の行為は道徳的であるとはいえない。また、動機が良くても結果が悪い場合にも同じことがいえる。

道徳的視点から見たとき、行為の結果より動機を重視しようとすることは当然であるが、動機も良く、行為も良いことを望むことがより重要である。

日常生活の様々な場面で道徳的価値の選択に迫られたとき(道徳的行為を求められたり、自ら進んで志向したときなど)、その行為を選択し、行動決定する自己の内面的資質がより望ましい道徳的価値によっている場合は、それはより高い道徳的実践であるということができる。

道徳的実践とは、児童生徒の直接的な道徳的な行為を伴った日常生活の基本的行動様式をはじめとする日々の言動そのものであるといえる。この日々の言動が望ましい道徳性を身につけたものになることを目指して行うのが、

 

 

 


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