教育福島0123号(1987年(S62)08月)-018page

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作成の配慮事項には「学校の実態に即すること」や、「地域社会の実態や特性を考慮すること」が挙げられていることからも次のような点に配慮する必要がある。

(1) 学校や地域社会の特色を生かす

自校の特色を生かすには、学校の教育目標の具現を図る教育活動の一つとして学校行事を位置づけ、実態を考慮して創意工夫を図ることが大切である。

また、地域社会の特色を生かすには、学校をとりまく地域環境の特性を十分に検討し、時数や季節等も考慮しながら学校行事の内容を工夫することが大切である。

(2) 地域の教育力を生かす。

地域のもつ豊富な伝統的文化、行事、生活の知恵などを積極的に取り入れて活用し学校の教育活動に活気を与えることが必要である。

 

5、特別活動の指導のあり方

 

「人間性豊かな児童生徒」の育成は、望ましい集団活動を通して達成すべき特別活動の基本課題でもある。特別活動においては、集団の実践的な活動を大切にし、協力してよりよい生活を築こうとする態度や集団の中で個を生かしていくことをねらって、一層の充実を図らなければならない。

そのため「ゆとりの時間」の活用も含めて、教育活動全体における確かな位置づけと効果的な運営を図ることが大切である。

また、小・中学校の一貫性を図るとともに、地域や学校の実態に即し創意工夫に満ちた活動を展開する必要がある。

 

自主的な生徒会活動

自主的な生徒会活動

 

六、生徒指導の充実

 

生徒指導は、学校がその教育目標を達成するための重要な教育機能の一つであるとされ、学校教育活動全般にわたって行われるものとしてとらえられている。そして、それは単に児童生徒の問題行動に対処するためにのみ必要とされるものではなく、日々の活動において、積極的にすべての児童生徒の人格のよりよい発達を目指すとともに、集団にとっても有意義で充実したものになるようにすることを目指すところに意義を有するものとされている。

一方、学校教育は、児童生徒の人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として必要な資質=教育的価値を達成するため、児童生徒の発達段階に応じて、組織的、計画的に営まれるものである。その中核となるものが、各学校において編成する教育課程であり、その実施として展開される授業である。

児童生徒の非行や問題行動が増加しその低年齢化や集団化が憂慮されている今日、学校教育に強く求められていることは、全教職員が積極的な生徒指導の意義を深く認識し、児童生徒理解に努めるとともに一生徒指導の機能を生かした授業を展開することである。

 

1、個を生かす生徒理解

 

人間尊重の精神に立脚して個性重視の授業を展開するためには、一人一人の児童生徒の特徴や傾向を把握する児童生徒理解が不可欠である。一人一人のどこを生かし、どこを伸長させたらよいか、どこに問題があるのかを把握して、どの場面や段階でどんな方法で指導することが最も効果的であるかを明確にすることが大切である。一人一人の児童生徒を深く、しかも多面的に理解することによって、生徒指導の機能を生かした授業展開が可能となる。

 

(1) 児童生徒理解の対象

児童生徒一人一人の個性や人格をできるだけ深く、総合的に把握するためには、次の対象についての検査や調査が必要である。

1) 能力・適性

能力・適性は学校生活への適応を考える上で基本的条件の一つであり身体的能力、知能、学力、適性など統合的にとらえる。

2) 性格、行動

性格や行動の特徴を知ることは、児童生徒を指導する方法〈ほめる、認める、叱るなど〉を示唆するとともに、さまざまな不適応状態の診断にも役立つ。

3) 興味・関心

児童生徒の興味・関心を知ることは、思考や行動の特徴を把握し、指導の在り方を考える上で、極めて重要である。

4) 批判・要求

教師に対する批判や要求には、できる限り耳を傾け、適正に応じてやれる受容的態度は特に大切である。

5) 悩み、不安

児童生徒一人一人の悩みを親身になって理解し、一緒に考えてやろうとする共感的な態度が必要である。

6) 交友関係

 

 

 


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