教育福島0123号(1987年(S62)08月)-020page
を深め、計画的、組織的な学年・学級経営を進める必要がある。
本来、学年経営と学級経営は、お互いに独立して経営されるべきものではなく、相互に補完し合うことにより効果をあげ得るものであり、このことが十分理解されていないところに今日的課題があると考えられる。
すなわち、学級経営は、児童生徒一人一人の自己実現をめざすものであるから、何よりも教師と児童生徒相互の信頼関係が基盤となる。また、学年経営は、学年主任を中心として、同学年の教師集団の共通理解と共通実践が重要な基盤となるものである。
したがって、学年・学級経営を効果的に進めるためには、学級経営に重点がおかれ、学年経営がおろそかになったり、あるいは学年経営を重視するあまり画一的な学級経営に陥ることのないよう、十分留意することが大切である。
2、一人一人の児童生徒が生きる学年経営
学年経営を進めるうえで最も大切なことは、同一学年のすべての児童生徒が、一人一人にとっても、また学年の集団にとっても楽しく充実した学校生活の実現が図られるよう、教師集団が共通して実践できる力量を共有していることである。
また、学年の児童生徒の心身の発達課題を適切に把握するとともに、学級の問題が学年全体にどうかかわるものであるかを見きわめ、組織的・計画的な援助指導を進めるごとのできる体制を確立する必要がある。
学年経営を効果的に進めるためには次の視点に留意し、努力する必要がある。
(1) 学年目標の達成に努める学年経営
学校教育目標を具現する立場から学年の実態に応じた目標を設定する必要がある。そのためには、学年の課題を明確にし、全学年教師の共通理解に基づいて学年目標を設定し、その具現のために、各学級が協力して共通実践に努めることが大切である。
(2) 学校・学級と結び合う学年経営
学年経営が、学校経営の一環として教育効果を高めるためには、学年の指導体制を組織化することが必要である。
具体的には、学年の指導の目標や方針、諸計画の立案、日常生活に関する基本的行動様式の在り方等について、学年教師が協力し合って指導、援助をしていく体制を整えることである。
このことは、学年全体の統一と調和を保ち、「開かれた学級経営」を推進するための基盤となるので、極めて大切なことといえる。
(3) 一人一人の児童生徒理解に基づく学年経営
学年教師は、学校及び学年の行事や教科指導等の教育活動を通して所属する学年の児童生徒一人一人を深く理解することに努め、学級のわくを越えた広い心で、援助指導に当たることが大切である。
そのためには、児童生徒理解についての話合いの場と機会を有効に設定し児童生徒の特性に応じて援助指導できる体制を整えておく必要がある。
(4) 学年教師のモラールを高める学年経営
学年経営を効果的に運営するためには、それぞれの役割をもった教師の組織的な協力が不可欠である。
常に学年主任を中心として、同一学年の教師、教科・分科担任、養護教諭等との情報交換、意志の疎通を図り指導の一貫性を保つことが極めて重要である。また、教職員との円満な人間関係を基盤に、共に実践を通して高め合う学年教師をめざすことが大切である。
3、活力と充実感がみなぎる学級経営
学級は、児童生徒にとって、何よりも楽しく安定した生活が約束される場であると同時に、一人一人にとって十分に活動できる場でなければならない。
児童生徒が真に充実した学級生活を送るためには、児童生徒相互の望ましい人間関係の確立が必要であり、そのための学級担任教師の果たす役割は大きい。
また、学級担任教師は、直接児童生徒に接し、指導する立場から学級経営を推進し、学校経営を支える重要な立場にある。したがって、学級経営に一層の情熱と創意工夫を重ね、その経営効果を高める努力が必要である。
学級経営を進めるに当たっては、次の視点に留意し努力する必要がある。
(1) 一人一人を育てる学級経営
学級担任は、自己の学級に所属する児童生徒一人一人を大切にし、その可能性を最大限に伸ばしながら、集団の中で人間形成を図るため、教育活動を行う最高責任者である。この責任を深く自覚し、使命感をもって学級経営に全力を尽くすことが大切である。
(2) 友情と信頼に満ちた学級づくり
学級集団は、最初から「望ましい集団」として存在しているのではない。それは、学級目標を実現していく過程や、学校におけるすべての教育活動が学級で統合、深化、発展される過程で、段階的に形成されるものである。
したがって、学級担任教師と児童生徒が、互いに信頼と尊敬とによって結ばれ、明るく高め合う学級集団を築きあげていかなければならない。
(3) わかる授業を創造する教師
学級担任教師は、各教科、道徳、特別活動の指導者として直接学習指導に当たる。当然、児童生徒一人一人の個性や能力等を十分に理解し、賞賛と励ましを与えながら教えるべきことはしっかり教え、伸ばすべきことはどんどん伸ばしてやらなければならない。
そのためには、学級担任教師として指導法に絶えず創意工夫を加え、「わ