教育福島0123号(1987年(S62)08月)-021page
かる・できる授業」の創造と展開に努め、児童生徒に自信と学習する喜びを感得させる必要がある。
(4) 家庭との連携を深める学級運営
学級担任教師が、学級の一人一人の児童生徒をより深く理解して指導に当たるためには、家庭環境についても十分理解することが必要である。最近は家庭をとりまくさまざまな問題や、保護者の価値観の多様化等により、その必要性は一層強くなってきている。
平素から児童生徒の調和のとれた発達を促すための、家庭との連携を保ちながら、相互の信頼と協力関係を確立するよう努めることが大切である。
八、進路指導の充実
1、進路指導の意義
進路指導は、本来人間の生涯教育の立場から進められるべきものであり、将来のためのしっかりした職業観と人生観を育てるための援助指導である。
したがって、中学校第三学年における職業紹介や高等学校進学のための諸準備等にとどまることなく、第一学年時より現在の自分自身を深く見つめ、将来の進路について広く考えさせることが必要である。
そのためには、生徒一人一人が自らの進路を主体的に選択し、将来の生活において自己実現が図られるよう、学校の教育活動全体を通じて組織的、計画的に指導を継続することが大切である。
2、進路指導の課題
すべての教師が進路指導の意義を十分に理解した上で、生徒の実態や学校の問題点を的確に把握し、次のような課題に全校を挙げて取り組むことが大切である。
ア、進路指導の意義やねらいについての理解を深めるとともに、進路指導の組織を整え、全体計画を見直す。
イ、進路指導についての校内研修や校外研修を積極的に行い、校内の進路指導体制を確立する。
ウ、学級指導における進路の適切な選択に関する学習はもちろん、教育活動全体を通しての進路指導を充実する。
エ、進路に関する情報を十分に提供するとともに、教育相談の充実に努める。
オ、保護者に対して望ましい進路指導の在り方や適切な進路選択の重要性について積極的な啓発に努めるとともに、地域社会や高等学校、職業安定所等の関係機関との連携に努める。
3、進路指導の進め方
進路指導は生徒自らの生き方についての援助指導であるので、まず、生徒一人一人に将来に対する夢や希望を育てていくことが大切である。
次に、進路指導を進めるに当たっては、学級指導の授業を中心にしながら全教育活動を通じて生徒の自己理解を深めさせるとともに、生徒個々の能力や適性を的確に把握し、将来の進路を選択する能力を育てることが必要である。
さらに、就職や進学をすることが、将来の生活や生き方にどのような意味や価値があるのかについても、生徒の発達段階に応じて十分指導することも重要である。そのためには、三年間を見通して計画的、継続的な進路指導ができるよう、各学年の指導内容の系統性をおさえた指導計画を作成するとともに、指導方法を工夫して指導の充実に努めることが極めて重要である。
各学年の指導の目標等は、次のとおりである。
ア、第一学年では、進路についての関心を深めることに重点を置くとともに、自己をよく理解し、進んで進路についての学習を計画しようとする態度を養う。
イ、第二学年では、進路を明確にしていくことに重点を置き、自己理解を深めさせるとともに、職業や上級学校等に関する進路情報の理解を通して一層明確な進路に対する希望や計画をもたせる。また、自己の計画を吟味し、その実現に努めようとする態度を養う。
ウ、第三学年では、自分にふさわしい職業や学校を選択し、具体的に進路を決定することが中心となる。
そのために必要な知識が不十分であれば、当然、指導しなければならない。
また、進路をめぐる不安や焦りなどから情緒の安定を欠き易いので、適切な配慮をするとともに、就職希望者と進学希望者との相互理解が図られるよう、実態に即した適切な指導を集めることも重要である。
各学年における進路指導を充実させるためには、前学年における指導内容を完全に実施しておくことが必要不可欠である。
さらに、生徒が進路を決定していく過程においては、進路への希望はもとより将来の生活に対する期待や普段の生活においても身近で働く人々への感謝の気持ちが自然に育てられていくことが望ましい。
4、進路指導と学級担任
学校における進路指導が適切に行われるためには、全校的な立場で連絡・調整及び指導・助言に当たる進路指導主事を中心としながら、学級指導の授業を具体的に推進する学級担任の識見と熱意と指導力に期待するところが極めて大きい。
したがって、学級担任は、進路指導