教育福島0123号(1987年(S62)08月)-022page
の重要性とその果たすべき役割を十分理解し、全体計画を基に学級の実態に応じて適切な指導計画を作成し、指導方法を工夫するなど、意欲的、積極的に生徒の指導に当たることが望まれる。
進路指導における学級担任の役割としては、次のようなことが考えられる、
ア、学級における生徒の進路についての実態の的確な把握
イ、学級における進路指導の目標、方針、努力点の設定
ウ、学級の指導計画の作成
エ、学級指導における進路指導の推進
オ、進路に関する各種資料・情報の収集と提供
カ、生徒の個人に関する資料及び学級全体に関する資料の収集・整理・活用
キ、生徒の能力、適性の把握と進路相談の計画的実施
ク、保護者との連携及び啓発
学級担任は、生徒一人一人について能力や適性ばかりでなはなく、家庭の事情を十分理解しておくことも大切である。また、生徒本人はもとより保護者の進路に関する考えを尊重し、家庭との連携を深めながら援助指導を続けていくことが特に望まれる。
さらに、進路指導を通じて生徒の自主性の発達状況など、人間的成長を絶えず確かめ、変化の激しい社会の中で自己を正しく生かせるよう、援助指導していくことも重要である。
九、へき地・小規模校教育の充実
近年、へき地・小規模校教育に対する考え方が変わりつつある。従来は、どちらかというと、へき地・小規模に伴う諸条件の消極面に目を向け、その克服こそへき地・小規模校教育の課題であると考えられてきた。
しかし、児童生徒に広く自然との触れ合いの機会を持たせることの必要性や、一人一人の個性に応じた教育の必要性が強く求められている今日、豊かな自然に恵まれたへき地や、小人数の特性を生かせる小規模校の教育の良い点が見直されている。
これからは、周囲の豊かな自然を教材化するとか、少人数学級(学校)を児童生徒一人一人の個性に応じた教育の好条件と考えるなど、むしろ、へき地小規模校のもつ特性を積極的に生かす教育が望まれる。
1、特性を生かす学校・学級経営
(1) 少人数の特性を生かす経営
少人数ということは、指導上多くの問題もあるが、反面、教師と児童生徒との触れ合いの場や機会を数多くもっことができるため、児童生徒個々の個性をより的確にとらえ、実態に即したきめ細かな指導ができるなどの長所がある。その長所に着目して、一人一人をどのように伸ばすかを中心的な課題としてとらえ、「全職員が、全校の児童生徒の担任である」という意識で、共通理解に立った実践を進めることが重要である。
(2) やる気を育てる経営
へき地・小規模校の児童生徒は「積極性がない」「表現力が乏しい」など観念的にとらえがちだが、純真素朴で素直さを持っており、可能性を秘めた児童生徒であることを忘れてはならない。教師の熱意と個を生かす指導法の工夫によって、一人一人の児童生徒の可能性を最大限に伸ばす努力が望まれる。
また、児童生徒は、学校への誇りを持つことで、自己の生活に自信をもちより積極的になるものである。音楽で花づくりで、体力づくりで、生産活動等で、児童生徒が胸をはって誇れる学校づくりを進めたいものである。
そのためには、一人一人の児童生徒に責任ある役割を分担させるとともに、相互に協力し合って、意欲的に活動する場を設定することが重要である。
児童生徒が努力の結果、成就感、満足感をもつことは、自信を生み、心の支えとなり、学校の士気を高めることにもなる。
(3) 家庭との連携を図る経営
交通網の整備、情報量の増大等により、家庭生活も大きく変化してきている。しかし、地域住民の純朴で人情味厚く、学校に対して協力を惜しまない姿勢は変わらないと思われる。教師が教育に真剣であれば、地域住民も真剣にそれに応えようとする。
また、学校教育は家庭教育を基盤として推進されるものであり、人間形成上お互いに補完的な役割をもつ。そうした意味において、相互に話し合い、目標を確認して協力し合うことが大切である。
保護者と教師との人間的な触れ合いの中での話し合いは、へき地・小規模校では持つことが容易であり、信頼を深めることができる。
(4) 地域の教育力を生かす経営
児童生徒は豊かな環境と、学校、家庭、そして地域の教育力の中で育つものである。人間性豊かな児童生徒の育成には、それにふさわしい教育的環境を整備・充実する必要がある。
豊富な地域素材を学習の場に生かし児童生徒の五感を通して学ばせることが重要である。 一
また、学校教育目標に、地域の教育課題や、地域住民の願いをとり入れるとともに、学校の教育方針が地域の人々に理解され、協力を得られるようにすることが大切である。
2、特性を生かす授業
(1) 少人数のよさを生かす
少人数の学級では、話し合い学習や集団思考の場が不十分になりやすいと