教育福島0123号(1987年(S62)08月)-023page
いわれるが、逆に少人数であるため、個々の児童生徒に教師の目がよくいきとどき、個に即した指導がしやすいという長所があるので、このことを生かして指導していくことが重要である。
児童生徒一人一人と教師との触れ合いを深めながら学習指導を進める温かい雰囲気であると、個人の存在価値が認められ、学習意欲も高まる。
また、日常の学習の中で、リーダーと協力者のどちらの立場も経験させることが容易なため、集団の一員としての意識と個人の責任を自覚させることができる。その中で、自分の意見を率直に述べ、相手の話を尊重して聞く態度を育てていくことが大切である。
(2) 主体的な学習態度の育成
少人数の固定的な集団では、ともすると追随的、妥協的な学習に陥りやすい。学習が意欲的、主体的に進められるよう指導過程を組織し、目標、課題、教材内容、学習方法等が、児童生徒一人一人の学習成立に機能するよう配慮する必要がある。
また、児童生徒同士の話し合いや教科に応じた学習の進め方などの学習方法を訓練して、主体的な学習がなされるようにすることも必要である。
特に、複式授業においては、自学自習の習慣や異学年との協力活動を通して、より主体的に学習する態度を育てることができる。これらの長所を生かし、基礎的・基本的事項を確実に身につけさせ、児童生徒一人一人の能力や個性の伸長を十分に配慮した指導を進めることが大切である。
(3) 教育機器や資料の積極的な活用
学習指導における教育機器や資料の活用は、児童生徒の興味・関心を高め、理解を助けるのに大きな役割を果たす。したがって、視聴覚教材の利用、教材教具の自作、教育機器の活用を積極的に行い、学習意欲の喚起や経験の拡大、授業の効率化が図られるようにすることが大切である。
(4) 指導と評価の一体化を図る
少人数学級のよさは、個々の児童生徒に目が届き、学習のつまずきをとらえて、個に即した指導がより可能なことである。
そのためには、個々の児童生徒について、学習結果の考察やつまずき等を記録し、指導の結果の客観的評価や診断に役立てたりすることができる個人カルテを作ることも必要である。
確かな客観的資料に基づく実態のとらえ方、とらえた実態をどのように授業に生かすか、そしてどのような変容を期待するのか、そのためにどんな手だてをもって指導するのかといったことについて、一層の努力と実践が必要である。
十、体育・保健・安全・及び給食指導の充実
健康・安全の保持増進及び体力の向上を図るには、体育・保健体育科の授業を基盤としながら、特別活動との有機的な関連を図り、学校の教育活動全体を通して行うことが大切である。
小学校体育の指導は、適切な運動の実践によって基本的な技能を養い、力いっぱい運動して活動欲求を満たし、運動の楽しさを児童一人一人のものとすることにある。
中学校においては、生徒の能力に応じて運動の楽しさや喜びを体得させながら、生涯体育の基礎となる運動実践に必要な能力と態度を育てるとともに、健康の増進と体力の向上を図り、明るく豊かな生活を営む態度を育てることにある。
保健・安全及び給食指導は、主として学級指導、学校行事、児童(生徒)活動等の特別活動や日常の学校生活における指導で取り扱い、それぞれのねらいを明確におさえて指導することが必要である。特に、学級指導を中心に児童生徒の発達段階に応じて基礎的・基本的事項を確実に理解させ、自主的に健康で安全な生活を実践する能力と態度を育てることが大切である。
1、体育指導の充実
学校における体育に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うことはもとより、その中心的役割は体育・保健体育の授業であり、その指導の充実に努めることが大切である。
(1) 運動の特性を明らかにした指導
それぞれの運動の特性を児童生徒の側からとらえ、楽しさを体験させ学習意欲を高めながら、一人一人が自らの課題に立ち向かっていくよう指導することが大切である。
(2) 共通理解に基づく計画的、継続的指導
学校における体育に関する指導の基本方針を明確にし、全教職員の共通理解のもとに、スポーツテストの結果等を十分に活用し、学校の実態や課題を明らかにして指導することが必要である。
(3) 特別活動やその他の教育活動との関連を図る指導
学級指導、クラブ活動・部活動の体育的活動、体育的行事、保健・安全的行事などの教育活動と有機的な関連を図り、効果的な指導を行うよう努める必要がある。
(4) 日常生活に体育的活動の定着を図る指導
学校における体育に関する指導の成果をあげるためには、家庭や地域との