教育福島0123号(1987年(S62)08月)-033page
二十四ページより続く
急激な社会の変化及び文化の発展に対応する教育を推進するためには、時代を見据え、しかも、あるべき方向を予見した研修が、教職員にとって不可欠である。
研修するに当たっては、当然種々の問題が生じてくるであろう。それらの問題には、前向きに対処し、効率的な推進について、真剣に考え、大いに工夫して取り組むことが大切である。
1、校内研修の活性化
校内研修とは、同じ学校に勤務する教職員が、校内の各種の組織を通して、互いに自己啓発を行い、教師としての資質を高めようとする営みである。
そこで、研修計画を立てるに当たり、次の二点について再検討してみたい。
○ 校内の各種組織が本来の目的のために機能しているか。
○ 学校が、教職員の相互作用により
一人一人が専門的な力量を高めたり教養を身につけたりする人間陶冶の場となっているか。
現在、学校に強く要求されていることは、全教職員の意欲的な取り組みによる校内研修の活性化である。
(1) 研修の取り組み
研修を進めるに当たって、教職員の自己研鑚に対する強い意欲こそ欠くことのできない条件である。
更に、研修の充実を図るためには、教職員間の相互啓発が何よりも有効である。
その際・次のことに留意する必要がある。
ア、研究主題設定にあたっては、児童生徒の実態や、教師個々の抱える問題を基盤とするとともに、教育の今日的な課題をふまえる。
イ、研修計画については、一人一人が納得し、熟知し、見通しを持って実践できるようにする。
ウ、研修の結果を日常の実践に結びつけて活用し、満足感の味わえるものとする。
エ、研修図書・備品、資料等、研修のための条件整備に努力する。
(2) 研修の組織
組織については、その機能が最大限に発揮されているかどうかの見直しが必要である。そのために、次の点に留意することが大切である。
ア、できるだけ単純化された組織であること。
イ、形式化していないこと。
ウ、一人一人の特性が生かされている組織であること。
エ、一人一人の役割分担が明確になつていること。
オ、全職員が参画できる組織となっていること。
カ、校内の他の組織との関連が明確であり、互いにその機能が有効に働いていること。
(3) 研修の評価機能の充実
校内研修は、ともすると計画及び実践に重点が置かれ、長い時間をかけて研究したにもかかわらず、その評価がおろそかになりやすい。
○ 研究内容は、どうであったか。
・ 教育目標の具現化をはかるものであったか。
・ 児童生徒の実態をふまえたか。
・ 地域の実態や特色を生かしたか。
○ 研究組織はどうであったか。
・ 他の組織との関連を図り、効率的に運営されたか。
・ 教職員の研修意欲の向上や相互啓発を醸成することのできる組織であったか。
○ 研究成果と今後の課題が明確化され、周知徹底されているか。
○ 研究成果が児童生徒に生かされているか。
などの点について追跡し、工夫して評価をしていくことが大切である。
2、個人研修の充実
「子供は、己れを愛する者にのみ心を開く」といわれている。
教育活動は、教師と児童生徒の相互信頼の上に成立する。児童生徒の熱い期待に応える上にも、教師は常に研修に努め、自己の力量を高めていく必要がある。
個人の研修を更に充実したものにするために、次の点に心掛ける必要がある。
ア、研修内容は、児童生徒の力を育て、しかも自己の力量を高めるものにする。
イ、自己の教育に対する理想や理念を確立し、それに基づいて、その場限りにならない、長期の見通しをもつた計画を立て、実践する。
ウ、校内研修や他の先進校の成果を参考にしたりして、資料の収集に努める。
エ、記録を累積し、研修の深化を図る。
オ、先輩や同僚の助言、指導を積極的に受ける。
カ、校内、あるいは校外での発表の場に積極的に参加し、研究内容の交流を図る。
3、研修時間の確保
校内研修を進めるにあたって、時間の確保が問題になることが多い、そこで、研修の充実を図るために、次の観点から工夫して時間の確保に努め、効率的な運営を図る必要がある。
ア、教育課程全体を見直し、何が大切で、何を優先させるかを考え、研修