教育福島0123号(1987年(S62)08月)-034page
の時間を確保する。
イ、研修時間を年間計画の中に的確に位置づける。
ウ、時間割編成上から研修時間を生み出す配慮をする。
○例えば、中学校の場合、学年主任会、研究推進委員会、教科部会等を共通の空き時間に当て、週一回定例会を開き、共同研修をする。
エ、長期休業期間は、次の点から研修を進める上で都合がよいので、十分活用する。
○研修の時間が十分確保できる。
○継続的、集中的に研修を進めることができる。
○研修内容について、情報が得やすい。
オ、共同研修の時間の運営にあたっては、効率化を図る工夫をする。
○研修内容を事前に関係職員に周知させ、むだな時間をなくする。
○教師一人一人の問題点をできるだけ集約し、研修の方向づけを明確にする。
○記録の累積を図り、研究内容を積み上げる。
その他、学年会や職員会の最後に研修についての話し合いの時間を設定するなど、インフォーマルな場での話し合いを大切にすることも有効である。
十二、幼稚園教育の充実
1、環境の変化と幼児教育の問題点
幼児を取り巻く社会環境は、この二十年余りの間に様々な変化が生じている。経済の高度成長とそれに伴う産業構造の変動、都市化、情報化、高学歴化、女性の社会参加の機会の拡大及び生活様式や生活意識の変化、価値観の多様化等、その変化の局面は広汎に及んでいる。こうした背景は、幼児の直接の環境である家庭や地域社会にも大きな影響をもたらし、さまざまな問題点が浮きぼりになってきた。
ア、基本的な生活習慣が身についていない子供が増えている。
イ、間接経験が多く、実体験をもたない子供が増えている。
ウ、自発的に遊べない子供が増えている。
エ、物事に対する感動が失われている子供が増えている。
オ、体力が低下し、疲れ易い子供が増えている。
これらの問題点を踏まえ、幼児及び幼児を取り巻く環境等の変化に対応した幼稚園教育の在り方が見直されることとなり、昭和六十一年九月、幼稚園教育要領に関する調査研究協力者会議より、「幼稚園教育の在り方について」最終報告がなされた。そこに示された改善の視点は、次のような内容である。
2、幼稚園教育要領改善の視点
幼稚園では、何を意図してどのような教育が行われるべきか。
ア、幼稚園教育は幼児の主体的な生活を中心に展開されるものであること。
イ、幼稚園教育は環境による教育であること。
ウ、幼稚園教育は幼児一人一人の発達の特性及び個人差に応じるものであること。
エ、幼稚園教育は遊びを通しての総合的な指導によって行われるものであること。
また、教育内容については、次の諸点について明らかにする必要がある。
ア、人とのかかわりをもつ力の育成について
幼稚園においては、生活全体の中で十分に友達と融れ合い、豊かな感情体験が得られるようにするとともに、自分の感情や意志を豊かに表現したり、自分とは違った様々な幼児の存在に興味をもち、共に楽しんだり共感し合える活動を重視すべきである。
イ、自然との触れ合いや身近な環境とのかかわり合いについて。
幼児期の認識や思考は直観的であるので、日常の身近な生活体験の中で具体的なできごとや物を手がかりとして自然の神秘や生命あるものと接し、それらに対する親しみ、愛着、畏敬、探求心などの感情を育む経験や活動を豊かに積むことが極めて大切である。
ウ、基本的生活習慣・態度の形成について
人間の生活の仕方や物事の善悪に対する感覚や基本的な生活習慣・態度の形成は家庭において行われる。幼稚園では、家庭との密接な連携のもとに、集団生活を通して社会的な広がりをもちつつ自己発揮と自己抑制の調和のとれた自律性を身につけていくことが重要である。
以上の問題点及び幼稚園教育の今日的課題を踏まえ、本県においては、幼児の主体的な遊びを通して健全な自立を促がし、集団生活の中で人間に対する信頼感、物事に対する興味、関心、運動能力等の基礎となる力を培うため次の点について更に努力する必要がある。
3、豊かな保育をめざして
(1) 直接体験の充実を
今の子供は、問いかけるとすぐ「わ