教育福島0123号(1987年(S62)08月)-046page
研究実践
レポート
わかる授業の展開
県立磐城農業高等学校
本報告は、「わかる授業の展開」のテーマのもとに昭和六十年度、六十一年度の二か年にわたって実践研究したその成果の概要である。
研究にあたっては、学校を挙げて、地域や生徒の実態に応じた教育課程の編制や指導内容の精選・構造化と指導方法の抜本的見直しを図り、生徒一人一人に応じたわかる授業の展開に努めた^
これに伴って、進路意識の高揚や基本的生活習慣の向上が認められるなど、生徒の意識・態度に変容があった。更に、中途退学者が減少するなど、学校の一層の活性化のための大きな要因となった。
一、主題設定の理由
本校は、創立以来四十有余年、いわき地方唯一の農業教育機関として、農業自営者並びに関連産業技術者の養成に努め、地域産業発展のため大きな貢献をしてきた。しかし、近年農業をとりまく諸条件は厳しく、農業高校はかってない難しい問題への対応に迫られている。
普通科志向が高まるなかで、農業高校には能力、適性、進路などの面で多様な生徒が数多く入学し、当校でも次のような現象が顕著にあらわれている。
(一) 目的意識や学習意欲の低下
(二) 基礎学力の不足
(三) 学校・学業不適応生徒の増加
(四) 進路の多様化等々
このような生徒集団をいかに啓発して目的意識を高め、学校生活に意義を見いださせるかについて機会あるごとに研究、実践を行ってきたところであるが、学習指導研究の県指定を機会に更に一歩進め、全教科・学科についての実践研究を深めるために本主題を設定した。
二、研究の目的
(一) すべての教科・科目の学習指導内容について、基礎的・基本的事項の精選・構造化を図る。
(二) 学習活動の中で、基礎的・基本的事項が確実に定着し、生徒が意欲をもって学習に取り組めるよう、わかる授業を展開する。
別表 研究組識
三、研究組織(別表)
四、研究内容及び方法
(一) 基礎調査
(1) 地域農業の実態調査(専業・兼業別農家戸数及び就農人口等)
(2) 意識調査
1) 生徒の学習・生活・進路に関する意識調査(学習に対する意欲、学校・家庭生活の基本的習慣、進路希望や目的意識など、生徒理解のための基本的事項)
2) 保護者の教育に関する意識調査(学校・子どもに対する要望・期待感や子どもの家庭生活等)
3) 卒業生の進路に関する追跡調査(定着度や現在の業務内容等)
4) 地域の中学校教師の本校に対する意識調査(中学校側から見た本校生徒の生活状況や学校に対する要望や意見等)
5) 生徒の各教科・学科に関する意識調査(興味・関心度等)
(3) 各教科に関する基礎学力調査
各教科の基礎的・基本的内容の定着度の調査(技能や作業も含む)(2)の1)、4)、5)と3)については、二年継続調査、その他は研究初年度に調査を実施して、学科・学年・男女別に分析して、問題点を把握した。これらの資料を基礎として、各教科・学科の実践計画を作成した。