教育福島0123号(1987年(S62)08月)-047page
(二) 各教科・学科の実践研究
実践計画に基づき、各教科・学科における「本校生徒の基礎的・基本的内容」を精選して、それらの内容を生徒一人一人に定着させるため、授業の改善や工夫について研究を深め、「研究即実践」を全職員の合いことばとして、「わかる授業」を推進した。(なお、研究計画や基礎的・基本的内容等は、紙面の都合上省略する)
五、各教科・学科の主な実践研究
(一) 各教科・学科の研究主題(省略)
(二) 各教科・学科の主な実践内容
(1) 国語……「表現力を養う」指導法として、新聞作りや作文などを取り入れた授業の展開
(2) 社会……現代社会学習に興味・関心をもたせるため、現場見学学習を取り入れた効果的な授業の展開
(3) 数学……興味・関心を高めるため、遊び(ゲーム)を取り入れた「数と式」の効果的な指導法や評価について
(4) 理科……観察・実験を多く取り入れ、「理科」を好きにする効果的な授業の展開
(5) 保健体右目…:学習意欲を向上させるため、「磐農体操」の創作や集団スポーツ(バレーボール)の指導法の改善・工夫について
(6) 音楽……喜びと自信をもたせるため、楽器(アルトリコーダー)を基礎から学習させる効果的な授業の展開
(7) 英語……効果的な導入教材を開発して使用することにより、基礎学力の補充や意欲の向上をめざした授業の展開
(8) 農業科……実験実習項目の精選と、実習ノートの開発などによる効果的な授業の開展
(9) 園芸科……組織培養等を取り入れた興味・関心を持たせるための効果的な授業の展開
(10) 緑地土木科……ビデオやスライドによる現場の模擬体験やコンビュータを取り入れた効果的な授業の展開
(11) 生活科……教科「家庭」の領域における基礎技術の定着を図るための効果的な授業の展開
六、研究の経過
英語の授業風景(緑地土木課・生活科2年)
(一) 研究年度 六十・六十一年度
(二) 各研究委員会の開催 延べ七十回
(三) 各教科一学科会 一か月三〜四回
(四) 研究授業 四十回
(五) 研究発表会 校外公開二回 校内公開二回
七、研究の成果と今後の課題
(一)研究の成果
(1) 研究体制の確立と研究の推進
全職員の一致した共通理解のもとに全教科・学科の学習指導全般にわたって見直し、実践研究を推進することができた。
(2) 基礎調査と問題点の把握
各種の意識調査、基礎学力定着度調査等により、生徒の実態及び問題点を把握して「研究即実践」の基礎づくりができた。
(3) 基礎的・基本的内容の精選及びわかる授業の実践
本校生徒一人一人に役立つ、基礎的・基本的内容を各教科・学科ごとに精選して、その定着をめざしたことが「わかる授業」の実践につながり、学習効果を高めることができた。
(4) 教師・生徒の意識の変容と中途退学者の減少
わかる授業の実践と並行して、生活指導、進路指導についても研究を深めた結果、教師や生徒の意識の変容につながり、進路意識や基本的生活習慣の向上及び中途退学者の増加に歯止めがかかるなど、大きな成果をあげつつある。
(5) 教育課程及び学科再編について
今回の実践研究の中で教育課程及び学科再編について検討することができた。その結果本校教育の今後を'方向づける一応の骨格を示すことができた。
(6) 校内の活性化
(1)〜(5)の成果が、生徒会活動や他の領域まで波及し始め、校内の活性化が進みつつあることは、大きな収穫である。
(二) 今後の課題
(1) 社会や生徒の変化に即応した、基礎的・基本的内容の構造化を進めることにより、「わかる授業」、「やる気のおこる授業」の推進。
(2) 先端技術に関する指導内容と指導方法の研究推進。
(3) 地域に調和した特色ある農業高校づくりの推進。
(4) 基本的生活習慣の定着と、目的意識の向上をめざす自己教育力の育成と、生徒指導一進路指導の改善・工夫。
(六十二年度より、広い視野で学ぶ心を育てるために、農業高校では珍しい学科の枠をはずして一部普通科目の男女共習の試行にふみきった)