教育福島0123号(1987年(S62)08月)-052page

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教育ひとくちメモ

 

公務災害認定

−共催行報員の場合−

総務課

 

公務災害の認定と補償について

「公務遂行性」「公務起因性」とは…

 

「教職員は、中体連地区予選大会において審判を務めている時に負傷した場合、公務災害補慣を受けられるか」

先日、このような照会がありました。

公務上又は通勤による災害が発生した場合には、被災職員又は遺族は、地方公務員災害補償基金(以下「基金」という)に対し補償の請求を行い、基金は被災者の任命権者の意見を聞いてその災害が公務により又は通勤により生じたものであるかどうかの認定を行います。その判断の基準としては、一般に公務遂行性と公務起因性の二つの要件が挙げられます。

 

一、公務遂行性

これは職員が公務に従事し、任命権者の支配下にあるという関係をいいますが、任命権者の支配下にあり、かつ、施設管理下にあって公務に従事している場合だけに見られるものではありません。基金が、「公務上の災害の認定基準について」(昭和48・11・26付 地基補第539号理事長通知)により出張又は赴任の期間中に発生した負傷は公務上の負傷として認定するとしているように、施設管理下を離れて公務に従事している場合にも認められます。

照会の場合では、中体連地区予選大会の役員として業務に従事するのに必要な職務上の命令が発せられているかどうかが、問題になります。

福島県教育委員会は、これまでは、「出張命令及び旅費支給の取扱いに関する方針」(昭和38・4・16付 38教学号外教育長)に示したように、共催行事の兜薫生徒の引率業務には出張命令を発することを認めていましたが、役員業務に従事する場合は職務に専念する義務免除又は牢次有給休暇で従事するよう指導していました。しかし「福島県教育委員会共催行事の役員として業務に従事する教職員の服務について」(昭和61・3・3付 61教総代60号教育長通知)Yにより取扱いが変更され、昭和六十一年四月一日からは、左記の要件を全て満たす場合は、共催行事の役員業務にも出張命令が発せられることになりました。

1) 共催承認の際、同時に「役員派遣対象行事」として認められた行事であること。

※ 役員派遣対象行事として承認する要件

○児童生徒のみを対象とする教育的内容の行事であること。

○基本的には、教職員によって運営される行事であること。

2) 県教育長の職務命令(市町村立学校教職員にあっては、県教育長の要請に基づく地教委教育長の職務命令)が発せられること。

※ なお、地教委共催行事についても県教委の例によるものとする。

各種行事の役員として被災した教職員に対する公務災害認定事務には、これまで多くの困難を伴いましたが、この通知により被災者の不利益を取り除く条件が整備されました。

ただし、県教委の共催行事だからという理由で、直ちに旅行命令権者が出張命令を発し得るのではなく、学校運営上及び教育効果をより向上させる等の必要性が確認された上で、措置されるべきであります。

 

二、公務起因性

第二の判断の基準である公務起因性とは、災害と公務との間に一定の因果関係が認められることをいいます。当該傷病等が当該公務に伴う危険の現実化したものであるか否かが問題とされます。

 

被災職員は、中体連地区予選大会スキー競技の役員としてスラローム種目の旗門審判員を努めていたが、旗門の通過に失敗した選手がぶつかってくるのを避けきれず、両者からみあった状態で転倒し、そのままの状態で約十メートル滑り落ち、その際に負傷したものである。

 

このように公務起因性が明らかに認められる災害が、出張命令を受けて役員業務に従事している教職員を襲い、被災者から公務災害補償認定請求書が提出されれば、県教育長は、「本件は、使用者の支配下における公務出張中の負傷であり、公務上の災害と認められる」と意見を付して基金福島県支部長に送付し、基金の認定を待つことになります。

 

 

 


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