教育福島0124号(1987年(S62)09月)-009page

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一人一人が自ら学ぶ意欲をもち、自己実現をめざす進路指導

 

−学級指導を通して自己理解を深める手だての追求−

 

西白河郡大信村立大信中学校

 

一、はじめに

 

本校は昭和六十一・六十二年度の二年間にわたり県教育委員会より進路指導研究校としての指定を受け、学級指導の授業を中心に実践的研究を続けている。

 

二、主題設定の理由

 

(1) これまでの現職教育の反省から、自主的に学習する態度を育てるためには、教師が一層生徒理解を深め、個々の生徒の特性に目を向ける必要がある。

(2) 生徒の実態からみて、自己の適性や性格等の理解に乏しく、自分自身の進路に対する考え方があいまいである。そして、いずれは何とかなるだろうと考えている。将来の職業への夢や希望はみられるが、自ら努力して達成しようという意識が低い。また、保護者の進学に対する関心は高いが、高校へ進学できればよいというように安易に考える傾向にある。

保護者も生徒も進路が高校進学と短絡的にとらえている。

(3) 指導に当たっては、目先の進路指導にとらわれがちであり、将来の人生の設計や生徒の生き方についての指導が強調される必要がある。以上のような本校の生徒並びに保護の実態を踏まえ、更に「個々の能力・適性の的確な把握に努め、その伸長を図る」という指導要領の目標を受けて本主題を設定した。

学校教育目標達成のために、本研究主題を念頭に置き、生きがいをもつ生徒の育成のため教育活動を展開したい。

 

三、研究の視点

 

進路指導は、全教師が全生徒を対象にして学校の教育活動全体を通して行われるものである。特に学級指導の授業は、進路の適切な選択を行う能力の育成を目指し、自己の能力や適性を正しく理解させるうえで大事な役割をもつ。

そのためには、自己をよく理解し、正しい勤労観や職業観を形成させるとさせ、それらを生かして将来の見通しがもてるように指導することである。

更に、将来への夢や希望を実現するために、自己伸長への意欲的な態度を育てることが重要である。そのために特に、次のことについて研究をすすめる。

(1) 自己理解を深めるための方策の工夫

(2) 年間指導計画の見直しと改善

(3) 進路学習の指導の充実

 

四、研究の内容と方法

 

(1) 自己理解を深めるための方策の工夫

1) 調査、検査等を通して自己の性格興味・関心、適性等について理解を深める。

2) 将来の進路設計の見通しと適性について理解を図る。

3) 各行事、係活動を通して自己の適性を理解する。

4) 個別指導を通して希望達成への意欲を持たせる援助をする。

5) 家庭との連携を図り、進路に関しての啓発を図る。

(2) 年間指導計画の見通しと改善

1) 進路指導の目標、方針、努力事項を設定する。

2) 学級指導における進路指導の内容を学校の実態に合ったものにする。

3) 学級指導の指導内容の精選と重点化を図る。

(3) 進路学習の指導の充実

1) 指導過程を検討する。

2) 生徒の主体的活動の場を設定する。

3) 学級指導における進路指導を充実する。

4) 進路情報、資料の収集や視聴覚教材の活用を図る。

5) 生徒理解の方法について研究する。

4) 各委員会による研究の推進全職員が次の委員会に所属し、週一回の会議の時間は時程表に固定する。

1) 企画委員会

全体構想、研究計画・日程の作成一広報誌の発行、渉外関係、収録関係、用語の検討、参考図書の購入、会計全般、進路相談室の設置と運営、勤労体験学習(菊の一人一鉢運動)の推進

2) 指導委員会

指導案様式の検討、題材配当表作成、年間指導計画の改善と活用の検討、進路相談計画、学習の手引の改善、参考図書の紹介

3) 調査委員会

個人理解のための諸検査の実施と考察(進路希望調査、保護者の意識調査、悩み調査、先輩の調査)、情報の収集と保管、写真等の記録、参考資料の収集と提供

(5) 指導法改善のための校内研修

計画的に研究授業を実施し、事前と事後に研修会を持ち、指導法の改善を図る。

 

 

 


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