教育福島0124号(1987年(S62)09月)-032page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

社会性と好ましい人間関係の育成をめざして

 

−交流活動の実践−

 

相馬市立養護学校

 

はじめに

 

昭和六十一年度、養護教育交流推進事業対象校として指定を受け、本校小学部児童と中村第二小学校三年生とが、交歓会を中心に交流活動を実施してきた。健常児と心身障害児とが交流活動を通して、児童はもちろん、地域社会の人々の理解も高まり、心のふれあいを深め合うなど多くの成果をみることができた。

 

一、交流教育のねらいと計画

(一) ねらい

今回の交流教育では、児童の経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てることを主目的に、ねらいを次の四項目に設定した。

○ より大きな集団への適応力を育て、高める。

○ 大きな集団の中で、日常の学習を生かすことができるようにする。

○ 交歓会で得た成果を、それ以後の生活に生かし、より楽しい学校生活が送れるようにする。

○ 地域社会の養護教育に対する理解を深め、地域との交流をいっそう推進する。

(二) 計画

これらのねらいを実現するため、次のような基本的な計画を立てた。

四月

・交流教育を進めるための校内組織を確立する。

五月

・実施計画を作成する。

六月

・交流の進め方について協議する。

・ビデオによる養護学校理解のための事前交流。

・第一次事前交流(養護学校)

七月

・作品やお便り交換会

九月

・第二次事前交流(中村二小)

・霊山子どもの村での交歓会

十月

・反省

・お便り交換会

 

二、交流教育への取り組み

(一) 第一次事前交流(六月十九日)

中村第二小学校の三年生が、養護学校を会場として、交流に参加した。両校の児童、教職員全員との対面式を行った。その後、班ごとに自己紹介があり、ゲームを中心とした活動を行った。小集団活動にして、児童相互の出会いの場を工夫し、段階的に友だちを理解させるよう配慮した。

(二) 第二次事前交流(九月十日)

養護学校児童二十一名全員が、中村第二小学校を訪問し、ダンスや大玉ころがしのゲームを行った。

大集団による活動が中心だったが、お互いに体のふれあいを通して、親しさが増していった。そして、集団活動参加の喜びを体験することができ、お互いを理解する上で大変役立った。

この二回の事前交流で、両校児童の緊張がとれ、これからの交歓会に楽しい期待がもてるようになった。

(三) 交歓会

九月二十二日、霊山子どもの村で実施。

(四) 事後交流

交歓会後、手紙による交流、作品の交換など自主的な交流を推進するように努めた。また、両校の教師間での反省会も行い、交流教育についての話し合いをした。これは、交流教育を推進する上で、両校教師の相互理解と協力が不可欠であると考えたからである。

 

三、交流活動の実際

養護学校と中村第二小学校の児童が、霊山子どもの村の自然環境及び施設を生かし、助け合いながら主体的に楽しい活動のできる内容の検討など、数回にわたる両校職員の協議を重ね、共通理解を図った。持に、実地の事前調査を行い、各グループごとの具体的な活動内容や実施上の配慮事項、危険箇所などについては、十分検討した。

(一) 参加者数

・本校は小学部全員二十一名、引率教員十六名、PTA役員三名。

・中村第二小学校は三年生百十二名、引率教員七名、地域協力者三名。

(二) 活動の内容

1) 全体交歓活動

開会式を終え、全員で「ドレミのうた」の身体表現をするころには、お互いに顔を見合わせ打ち解けた雰囲気になった。更に、ボール送りゲームに入ると、なかなかボールを送らない本校の児童に、「○○ちゃん早く」と自然に名前が出はじめた。

2) 各班ごとの活動

六班に分かれ、「遊具で遊ぶ」「オリエンテーリング」「山登り」など各班のアイディアに富んだ楽しい計画に従って交歓会が実施された。オリエンテーリングのグループでは、手をつな

 

対面式でワッペンをつけてもらう児童たち

対面式でワッペンをつけてもらう児童たち

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。