教育福島0124号(1987年(S62)09月)-043page

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る。

 

三、研究の内容

 

(一) 実態に基づく授業研究

(1) 知識理解面についての事前事後、把持テストとその結果の考察

(2) 授業時における「楽しい小物作り」の計画と記録カードの活用による児童の実践意欲の変容

(3) 評価による基礎的技能を高めるための指導法の改善(形成的評価と到達度評価の工夫)

 

(二) 授業後の意識調査と実践力の高まりの状況

(1) 授業後の意識調査の結果(活用の状況、喜びの状況)

 

四、研究の実際

 

(一) 授業の結果の考察

(1) 実践的意欲の考察

1) 児童にとって手縫いの学習の初歩であり、被服製作の導入的題材であるので、できた作品には粗末なものがあったが、「自分で作ったものを使える」という楽しい期待を持つ心が一人一人ににじみでている。

2) 楽しい小物作りの計画と記録カードを使用することにより具体的な目あてをもち、自分の力で見通しをもって学習をやりとげるための資材として効果的であった。

(2) 基礎的技能の考察

1) 時間が不足し、一人一人の製作学習に対する配慮が十分とはいえなかったが、困ったときは授業時間以外にも児童の相談相手となつてやった。

2) 作業速度の個人差や、理解の遅い児童の対策として、早く縫えた児童でも教師に見せるのでなく、「グループのみんなが助言し合って縫う」「相互に縫い方を確かめ合う」ようにさせたので、みんな協力的に作業を進めていた。

(3) 創意工夫に基づく考察

1) 自分の好きな装飾の仕方を選ばせ、工夫しながら作り上げていくときの姿は「非常に楽しそうであった。

2) 一人一人のアイデアをできるだけ生かすようにし、その子なりの努力を認め、製作への自信をもたせたことが効果を上げた。

 

(二) 家庭生活における関、心・態度についての実践状況

(1) 考察

1) 何度も失敗し、苦労したが「やってよかった」「満足だった」という充実感が、「もっとちがったものを作りたい」という実践への意欲を起こさせていると思われる。

2) 学習した技能で作れる参考作品などをできるだけ多く準備したので、家庭でもくり返して手作りの楽しさや喜びを味わうことができた。

 

五、成果と今後の課題

 

(一) 成果

(1) 「小物作りの計画と記録カード」は児童」人一人の学習手順と手だてであり、学習の見通しをもっての進歩の足あとであると同時にへ教師自身にとっても、日々の指導の反省材料として参考になった。

(2) 手作りの物には、既製品にはみら

れない良さがあること。また作品に愛情をもつことにより、物を大切にする心などが養われてきたと思われる。

(3) 自分で工夫して生活に役立つものが作れること、また、使用して喜びを体験することが、製作への実践に結びつき、被服生活への関心を高めることになった。

 

(二) 今後の課題

(1) 作品のできばえをあまり問うことなく、児童の自由な創作活動を大切にし、作る喜びを味わわせて生活化を図り、実践化させたい。

(2) グループ学習において、多くの児童は、お互いに教え合いながら技能を身につけているが、中には解決できない児童もいる。それらの児童については、特にリーダーとの話し合いや援助に留意して指導すれば、より向上をはかることができたと思われる。今後、更に実践を重ねて学習指導法の改善に努めていきたい。

(3) 一時間一時間の学習で、一人一人の子どもに課題意識をもたせ、自主的にものごとを解決しようとする態度を培うことがこれからの課題である。そして、学習したことが自分の生活に生かされ、自ら生活を向上させようとする力を十分につけてやりたい。

 

なべつかみを完成させた喜び

なべつかみを完成させた喜び

 

 

 

 

 


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