教育福島0124号(1987年(S62)09月)-048page
図書館コーナー
自動車図書館(BM)について
−北日本図書館連盟研究協議会から−
去る六月二十五・二十六日の両日、飯坂「あづま荘」において、昭和六十二年度北日本図書館連盟奉仕部門(BM)研究協議会が開催されました。
これは、公共図書館、公民館、社会教育関係職員を対象に、自動車図書館(ブックモービルのこと、以下「BM」どいう)の果たすべき役割を十分に機能できるよう、多方面から生じる問題点を解決するためのものです。
協議会の概要は次のとおりです。
《講演》−要旨−
移動図書館の今日的役割
−地域の状況に即した移動図書館のあり方−
東洋大学教授 石井敦
日本におけるBM及び図書館の系譜を各地の具体例からみてみると図書館活動で最も重要なのは、館外活動である。そして、BMの役割としては、(一)サービス拡大のための先兵 (二)図書館のサービスポイントとしての位置づけ(三)遠隔地サービスの三つの考え方があるが、サービスするにあたって、具体的には、(一)個人対象のサービス (二)巡回回数、駐車時間を充分にとる (三)リクエストサービス (四)新着図書の案内(五)積載図書の工夫が運営していくときに重要である。そして、BMのサービスは、それだけを切り離して考えるのではなく、各自治体ごとに実情にあった図書館全体のサービス計画を作成し、その計画に即した活動が大切である。
《事例発表》
移動図書館二十五年 現状と課題
青森県立図書館 川村 克則
当初二百か所の読書会・団体を一台で巡回していたが、その範囲が大きくなるに従い、市町村における図書館奉仕活動は、市町村自治体で行うべきものと考え、一市町村一か所の駐車場を設け、市町村自治体に貸出し、それを活動の糧としてもらう方法(配本方式)を行うようにした。現在では二か所の町村を一か所で行う拠点配本方式を採っている。図書館の設置率の低さ、市町村のBMの普及が遅れでいること、市町村立図書館・公民館の図書費の低さ等を考えた場合、県立図書館におけるBMサービスは、今後ともその必要性は変ることはないと思える。また、県立図書館、市町村立図書館・公民館を区別することなく、一緒になって問題解決をすべきであると考える。
農村におけるBM利用拡大について
岩手町立図書館 平野 嵩文
町民の身近に図書があり、「誰でも、いつでも、どこでも」図書館サービスが受けられるようにする、という図書館の基本任務からして、BMの巡回は第一段階における「図書館サービス」そのものであり、最も重要なものである。しかし、小図書館の実態は、職員・資料・施設ともに極めて不十分であり、全ての図書館サービスを展開できる状況にはない。このような現状において、当館は全域サービスを指向しながらも、地域の特性を考慮した運営計画、地域行事や学校行事を考慮した傾斜サービスを行ってきた。当面の課題は、専門職員によるBMサービスと駐車場等必要条件を整えることである。
福島市における移動図書館の役割
福島市立図書館 渡辺 勝美
手さぐりの中からスタートしたBMであったが、登録者・利用者の拡大を図るとともに、利用実態の把握という点から、利用者に対するアンケート調査をし、リクエストに積極的に応じてきた。現在、本館がオープンし、BMの分館としての役割がますます重要視されてきたと言える。今後は、貸出冊数の増加と平行して、広域住民への平均的サービスを考えていかなければならない。また、児童に対するサービスの拡充も今後の課題の一つであると考える。
《研究協議》
各県立図書館、市町村立図書館、公民館より、それぞれのBMの現状及び現在抱えている問題点についての報告があり、それを解決するための討議がなされた。問題点としては、児童に対するサービス、駐車場の選択、不要本の処理、PR活動などが出され、最後に講師から、(一)各図書館が図書館サービス計画を持つこと (二)県立図書館の機能を再検討すること (三)よい情報を選んで運営にとり入れてゆくことの三点について意見が出され、大会を終了した。
BMサービスの充実についての熱心な研修