教育福島0128号(1988年(S63)01月)-011page
〈賃料2〉 読書力診断検査・分野別平均得点グラフ
(二) 第一次検証授業
〈実践1) カブトガニ〉
(1) 教材について(詳細は略)
一字下がりになっている形式段落については、ほぼ全員の児童が理解している。「カブトガニ」は九つの形式段落から成り、四つの意味段落を構成する。3)の段落をのぞいては、一つの段落が二文から三文で構成されている。2)中心話題を考える
それぞれの段落が何のことについて述べているかを考えて、「○○のこと」という書き表し方でノートさせた。これを全体で話し合った結果、次のようになった。
1) 住んでいる場所のこと。
2) 様子のこと
3) 大きなひみつのこと
4) 生きつづけてきた理由のこと
5) せいしつがおとなしいこと
6) 食べ物のこと
7) たまごの産み方のこと
8) へってきたこと
9) 守る運動のこと
(1)−9)は形式段落番号)3) 要点をまとめる
それぞれの段落の中心話題を示す語句は、各段落のキーワード的なものともいえる。段落の中心話題が分かれば、要点をまとめる手がかりになってくる。教科書の「学習の手びき」では、3)の段落の要点を「カブトガニは、二億年も前から形を変えることなく生き続けてきた動物だ」とまとめて、要約の仕方を示している。これを参考にして、他の段落の要点を、中心話題をもとにまとめさせた。問題となったのは、2)の様子のこと、5)6)7)の理由のまとめ方である。それは、段落内のいくつかの文から言葉を選び組み合わせるからである。要約の手順を教えることも含めて、この学習は、児童と教師の共同作業という色合いが強くなってしまった。4) 段落相互の関係をまとめる。
文章全体を大きく四つに分けようと指示した結果は、次のようになった。
四つに分けた者−−−−−八人
四つにならなかった者−−三人
記入なし−−−−−−−−五人
○ まとまりを考えていく時の手がかりになる言葉として、
次のようなことが……
一つは、
二つ目は、
三つ目には
がある。ここに着目して、4) 5 )6)7 )のまとまりを見つけた者が十二名いる。
○ 8) 9)の段落については、述べている視点の違いに気付くことにより、まとまりがとらえやすい。9)の段落への接続語「そこで」からも、8)の内容が9)へつながっていくことが分かる。言語教材「つなぎ言葉」を学習した直後であるにもかかわらず、十五名の正答者しかいなかった。
○ 児童は大きなまとまりに分けるとき、はじめ・なか・おわりという大体の構成を考える。それで、1)の段落を話題提示の段落と考えた者は、十四名と多い。3)の段落の中心話題をみると、3)で話題が転じていることに気付くはずであるが、この場合は残念ながら、中心話題は意味段落をとらえるのには生かされていない。
〈実践2)、キョウリュウの話〉
(1) 教材について(詳細は略〉
文章構成上からは、カブトガニの展開と類似している。中心話題・要点・段落のまとまりのとらえ方は、カブトガニの学習をもとに進めていくことができるものと考える。二十の形式段落から成り、六つの意味段落を構成する。
(2) 教師の働きかけ
一人一人の児童の活動を主体にして、中心話題・要点・意味段落をとらえさせるために、次のような教師の働きかけを考えた。
○ 各段落の中心話題を考えていく視点として、「地球の主人公として栄えていた」という冒頭の段落の要点をもとにする。
○「なぜでしょう」という問いかけの文と、その理由を述べている部分に気付かせる。
○「ところが」で、これまで述べてきた事柄と異なる内容の展開を予想し、まとまりを考える手がかりとさせる。
○「そのわけ」の指示内容を考えさせることにより、つながりをとらえさせる。
(3) 中心話題をとらえる(略)
(4) 段落相互の関係をまとめる
中心話題をもとにして、段落相互の関係を調べさせた結果、次のようになった。 (資料3)
○ 本教材には、説明文の基本的な型「問いかけの文1その答え」があり、答えの述べ方も、まず・つぎに・それからと挙げている。これらは、「カブトガニ」での理由の述べ方と似ており、「栄えたわけ」とまとめることができた者が、十四名いる。
○ もうひとつの大きなまとまりである「ほろんだわけ」は、十五名がとらえている。その際、「ところが」という言葉があるからここから話が変わる、15)の段落の「そのわけ」というのは14)の段落の内容を指し、14)は15)へつながる、ととらえている。
○ 文章全体を見通させて、いくつのまとまりになるかを考えさせると、
五つのまとまり−−−−−八人
六つのまとまり−−−−−十五人
それ以外のまとまり−−−三人となった。この場合、一番問題にな