教育福島0128号(1988年(S63)01月)-021page
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ら観察して、特徴や変化をとらえようとする意欲と能力・態度が培われた。
対策五の実際「メダカの成長」
「児童の学習意欲が高まり、各段階の評価結果によって、1〜Nの対策の有効性が確かめられた例」
メダカの成長で事前テスト・形成的評価2・3、総括的評価を実施した結果、児童は単元に対して大変興味・関心が高く、各評価毎に知識・理解が向上していることが分かった。
この結果、児童は事象から問題をつかみ、『書く』活動によって、メダカや卵の成長のイメージ化を図り、学習の複線化によって、自分が選択した飼育・観察活動に積極的に取り組み、学習の知識・理解面が向上していることが確認できた。(資料2参照)
このことから、それぞれの対策の有効性をとらえるために、児童一人一人のチェソクリストを作成して、児童の学習状態を分析する評価方法は、単元を通した児童の学習状態を把握することができ、学習指導法の改善に効果があることが分かった。
四、理科学習に関する児童の変容
第一回の理科学習に対する意識調査(六月実施)と、第二回(十月)の調査を比較すると、「理科が楽しくてとても好きだ。」と答えた児童が増えていることが分かった。(資料3参照)
これは、児童がメダカの餌を探しに教室を離れて、自由に採集活動したり、夜、学校に集まって星の野外観測をしたり、たねの発芽から成長まで観察したりするなど、自分たちで予想や教材の準備から解決活動まで計画し、活動できたことで、理科学習の楽しさが分かってきたためと考えられる。
また、一回目の調査では「実験は楽しいが、予想やまとめは苦手。」と答える児童が多かったが、二回目の調査では「予想が当たるとおもしろい。」と答えた児童がいることが分かった。
このことは、事象から問題をつかみ練り上げた自分の予想を書いて発表しそれを自分が選んだ方法で解決できたことに喜びを感じることができたためと考えられ、『自然事象から問題を見つけ、自ら解決でき、理科学習の楽しさが分かる児童』に迫りつつあることが分かった。
五、研究の成果
1) 具体的な自然事象や活動を提示することは、児童の疑問や好奇心などの情意的側面を刺激するだけでなく学習経験を引き出すきっかけになつたり、予想の思考活動を活発にしたりすることができ、有効な手だてであることが分かった。
2) 予想やまとめの段階で、書いて発表させることは、児童の学習経験や発想を有機的な思考に発展させるとともに基礎的、かつ科学的な考え方を表現させることができる有効な手だてであることが分かった。
3) 学習の複線化を図ることは、児童の個性や能力にあった解決活動をさせることができ、児童の学習意欲を高めるとともに、理科学習の楽しさを体得させることができる有効な手だてであることが分かった。
4) 視聴覚教材の活用は、学習意欲を高め、理解を深めることができるとともに、理科学習を発展的にとらえさせるために有効な手だてであることが分かった。
5) 児童の学習状況(理解面)をチェソクリストによって評価する方法は、教師が児童の変容を確実に把握し、随時対策を講ずることができ、評価法として有効な手だてであることが分かった。
六、今後の課題
1) 事象提示を工夫し主体的に考え自ら解決できる児童を育成するよう、さらに努力する必要がある。
2) 形成的評価において、知識・理解面の評価だけでなく関心の度合い、意欲・態度をどう評価していくか工夫する必要がある。
3) 理科学習において、情意面の自己評価をさせると、「楽しい・おもしろい」など形式的になってしまう。知識・技能面、情意面の自己評価をどう効果的にすすめさせるか工夫が必要である。
4) 個別化が叫ばれている今日、学習の(解決活動の)複線化から、さらに個の学習範囲を広げ、個に応じた授業の展開を工夫する必要がある。
〈貸料2〉 単元『メダカの育ち方』の児童の学習状態の変化
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〈資料3〉 理科学習に対する興味関心についての変容
(上段:6月調査、下段:10月調査)
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