教育福島0128号(1988年(S63)01月)-031page
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り重視するものである。
また自己学習力を育てるには、教師の発想の転換が必要で、指導することから、どう学ばせるかという子ども中心の指導のあり方が大切になってくる。
(二) 個別化学習の推進について
指導内容に系統生があり、共通の学力を身につけさせるには、指導の個別化が必要であり、個性的な追求が可能な内容については、学習の個性化をはかることができる。
両者はかみ合って展開し、どちらかが優位に立つ。
三、研究仮説
一斉指導を中心としたこれまての授業を改善し、児童の立場に立って単習を組織化して指導の欄別化と学習の個性化をはかり、新しい授業システムによる個別化学習を積み上げれば、主体性や創造性が育ちへ一人一人に自己学習力を育成することができる。
そのために
○ 指導の個別化と学習の個性化の考えをもとに、教科・教材の特性に応じた新しい授業システムを確立し、実践化に努める。
○ 学校の教育課程全体を見なおし、個別化学習の推進に向けて改善する。
○ 個別化学習を推進するための条件整備に努力する。
四、研究計画と研究組讐−省略−
五、実践の概要
(一) 個別化学習を推進するための条件整備
○ 学年のわくをこえた協力教授組織
一人一人の能力開発と個性伸長をはかるため、計画、指導、評価にいたるまで、協力教授組織のもとに、何人もの教師が協力し合って授業に取り組むことを基本にした。
六十一年度の学年TTが、六十二年度はブロックTTに発展し、授業は固定した一人の教師がするものだという概念がくだかれた。
○ 実践化に重点をおいた研究組織
研究活動を中心にすえた校務分掌組織にし、庶務的事務の統合をはかり、担任教師が指導に専念できるようにした。各学年各ブロックが協同体制のもとに研究を推進できるような組織にするとともに、年齢によって組織化が行われてきたことを打破して、教師の個性が生かせる実践力の強い組織に改善した。
○ 地域社会の民間教育力の活用
個別化学習には多様な指導者が必要であり、学校の教育活動に民間の専門の方々の協力を得て、学校ボランテアとして参加してもらうことにした。
○ 教育課程の見直しと改善
1) 教科指導と研究教科
自己学習力を育てる教育を進めるには、一教科一分野の研究でなく、すべての教科等を対象とするのが基本的な考えであるが、昭和六十一年度は個性、化に重点をおき、社会科と理科、合科的な指導の研究に取り組んできた。
六十二年度は、それに国語科と算数科を加え、指導の個別化と学習の個性化の両面から指導のあり方を追求している。そして、全教科を研究の対象に広げていく考えでいる。
2) 一か月のまとまりある指導計画に
各教科や特別活動など、細分化されて指導が行われがちな現状から脱却するために、児童が数週間ないし一か月間、一つの目標に向かって活動できる指導計画に改善した。
低学年においては、総合的な考えを取り入れた合科的な指導を各学年のテーマのもとに再編成し、高学年においては教科間の関連をはかった年間計画に改善した。
3) ノーチャイム、九十分授業
主体的で創造性のある子どもに育てるにはチャイムは必要ないとの考えから、六十一年度より徐々に減らし、六十二年度はノーチャイムの学校生活が実現した。また、児童の活動を中心にすえた授業をするには、四十五分で切るのではなく、九十分授業にしょうと試行を経ての実施でもある。
(三) 新しい授業システムの確立と実践化
1) 学習の個性化に重点をおいた社会科、理科、合科的な指導の実践例
教科の本質をふまえ、ひとり学びのできる子どもに育てるため、これらの教科では、次のような個性化が可能で
〈個別化学習〉
「自分の選んだ伝統的な工業」の学習