教育福島0128号(1988年(S63)01月)-041page
をめざす者のコースとした。
(三) バイオテクノロジー技術の教材化と実践
バイオテクノロジー技術は、本来、広い範囲の領域を含んでいる。この中で、農業高校の農業・園芸科におけるバイオテクノロジー教育の学習内容は、既に実用化が進み、最も基本的な「植物組織培養」が、その中心になると考えられる。
バイオテクノロジー技術の教材化のために実施した研究の内容は次の通りである。
(ア) 草花の組織培養
・カーネーション、シンビジウム、
・キクの茎頂培養
・エビネの無菌は種
・セントポーリア、シクラメン、
・グラジオラスの器官培養
(イ) 野菜の組織培養
・イチゴの茎頂培養
(ウ) 果樹の組織培養
・ブドウ、ナシの茎頂培養円応用技術
・カーネーションのプロトプラスト培養
・カーネーションウィルスフリー苗によるロックウール栽培
このうち、(ア)、(イ)を三年草花専攻生の研究テーマに位置づけ、卒業論文にまとめるとともに、一部は農業クラブの県大会で発表、また、これらの研究と生徒の実験をまとめ、教師及び生徒用の実験マニュアルを作成し、活用することとした。
四 実験マニュアル「わかりやすいバイオ技術の実際」の作成
実験マニュアル作成にあたっては、教師及び生徒がすぐにでも簡単に利用でき、しかもわかりやすい内容とし、農業高校におけるバイオテクノロジー教育定着の一助とすることをねらいにした。
マニュアルは三部構成として、次のような内容とした。
1) 部(総編) 教師向けのバイオテクノロジー導入編。
2) 部(準備編) 教師・生徒向けの培地作成の手順、無菌操作の基礎編。ここでは、多くの過程からなる組織培養の作業過程を図1のように整理し、番号順に作業をすす
表1 園芸コースの教育課程
注: 総合実習における生物工学専攻生徒は、野菜・草花・果樹のいずれかに所属して各専攻の学習を進めるとともに、卒論テーマにバイオテクノロジーを取り入れる者が、生物工学専攻としてバイオテクノロジーについて研究する。
図1 組織培養の主な作業日程