教育福島0128号(1988年(S63)01月)-042page
めていけば、全部の過程がスムーズに行えるようなマニュアル構成とした。
3) 部(実際編) 生徒向けの置床・無菌操作手順の解説編。表2は、その一部を抜粋したものである。なお、マニュアルのあらましは、表3のとおりである。
四、まとめ
本研究で作成したマニュアルを県内の各農業高校に配布したところ、各校において生徒の実験に活用されるという成果を得た。しかし、実験マニュアルとしてより利用しやすいものにするためには、理解を助けるためのイラストを入れたり、実際編に取り上げる種類をより多くして内容を充実させる等の工夫、改善点が多く、今後とも研究を継続する必要がある。
本校におけるバイオテクノロジー教育は、昭和六十三年度からの「生物工学基礎」(仮称)の授業開始によって、本格的指導の段階に入ることになる。
「苦労してやっと置床することのできた生長点が、日に日に緑が濃くなり、葉らしいものができ、茎が伸び、白く
表2 実際編の一部(抜粋)
(二) カーネーションの茎頂培養
目的 ウィルスフリー苗の作出
培地の組織:MS+NAAlmg/1+寒天7g/1,PH5.6〜5.8
培養部位:頂芽の茎頂
培養条件:温度20〜25℃、2,000luX24時聞連続照明
1.準備するもの
(1) 材料 カーネーション頂芽、MS培地
(2) 器具
1) 無菌操作用…クリーンベンチ、ピンセット、 シャーレ(アルコール綿用)、アルコールランプ、ライター
2) 植物材料消毒用…安全カミソリ(両刃)、ビーカー、シャーレ2組(1つはビーカーのふたがわり)、
スポンシ、ろ紙
3) 摘出・置床用…双眼実体顕微鏡、メス、柄付針(いすれも手製、前述20ペーシ参照、メスは培養本数分、柄付針はその2倍の本数を必要とする)※これらのホルダーがあれば便利
4) アルミキャソブ、アルミホイル
(3) 薬品
1) 無菌操作用…アルコール綿、99.5%エタノール、70%エタノール(霧吹き器に入れておく)
2) 植物材料消毒用…中性洗剤(ママレモン)
2.方法
(1) 培養には花芽分化していない頂芽を使用し、よく水上げしておく。
(2) 不要部分を除去し、よく水洗いする。
(3) ビーカーに中性洗剤を薄めた液を作り、頂芽を入れてよく洗う。
(4) 流水でよくすすぐ。
(5) 次ページ図の要領で、頂芽の展開葉を下部から順に取り除き、芽先部分を3cm位に切り取り、シャーレ(水でしめらせておく)に集め、ふたをしておく。
(省略)
表3 実験マニュアルのあらまし
1)部総編
1.農業姦校へのバイオテクノロジー(生物工常)導入の意義
2.バイオテクノロジーの定義と領域
3.農業高校におけるバイオテクノロジー教育
(1) 目標
(2) 教育課程上の位置づけ(バイオテクノ孤ジー教育の学翠構造)
(3) 学習内容
(4) 学習形態
(5) 導入にあたって
(6) 施設・設備、霊験器具等
2)部 準備編
組織培養の驚な作業過程
1.器具類の準備
2.貯蔵液の作成
〈MS粉末培地(市販)利用の場合の貯蔵液作成海〉
3.植物ホルモンの作成
4.PH調整液の作成
5.培地の作成
〈貯蔵液を利用したMS培地の作成〉
〈MS粉末培塘(声販)を利用した培地の作成〉
〈Hyponex培地の作成〉
6.摘出・置床器具類の作成
7.港毒液等の作成(蒸留水、滅菌水、渚毒液の作成)
8.培地・器具類等の滅菌
9.植物材料の洗浄・粗調整
10.無歯操作
〈クリーンベンチを利用した場合〉
〈無歯箱を利用した場合〉
・バイオ技術で使用する単位
・直示天びんの使虜法
・PHの調整(P耳試験紙による場合)
・オートクレープの使用法
3)部 実際編
1.ラン類の無菌は種(エビネ)
2.カーネーションの茎頂培養
3.シンピシウムの茎頂培養
4.セントポーリアの組織培養