教育福島0131号(1988年(S63)06月)-009page

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す教育の内容を具体的に把握する必要がある。そのため文部省としては、障害別の学習指導要領の解説書及び手引書を発行している。従来の解説書、手引書に昨年新たに加わった文部省著作の手引書は次の通りである。

○ 「精神薄弱教育における体育指導の

手引」

○ 「日常生活の指導の手引」

○ 「肢体不自由教育における養護・訓練の手引」

○ 「肢体不自由の発達と指導」

これら手引書等には、意義や概念、目標・内容など例示をまじえた説明がなされ、共通理解を深めるための手引として有用である。また、小学校・中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領についても十分研究が必要である。具体的な教育課程の編成に当たっては次のような点を検討し、共通理解を図るよう留意する必要がある。

(1) 教育内容の選択

○ 各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練に関する基本方針を設定する。

○ 学校の教育目標や努力目標との関連を図り、重点を置くべき各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練の指導内容を明らかにする。

○ 小・中・高等学校の学習指導要領及び指導書等をもとに、各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練の内容を具体化する。

(2) 授業時数等の配当

○ 小学校、中学校の各学年の総授業時数に準じ、各教科、道徳、特別活動、養護・訓練の四領域に配当する。

○ 高等部においては、八十単位以上を履修することとなり、各学年における履修単位の配当、科目の分割履修計画を立案する。

○ 学科・科目との関連を図り、高等部における養護・訓練を週三単位時間を標準に定める。・

○ 精神薄弱養護学校高等部においては、各学年とも総授業時数千百二十単位時間を標準とする。

(3) 精神薄弱養護学校における指導形態別の指導計画の作成

○ 学部、学年段階に応じ日常生活の指導、生活単元学習、作業学習と教科別、領域別の指導の位置づけを定める。

○ 教科別、領域別の指導内容を明らかにする。

○ 指導形態別の週当たりの授業時数及び年間授業時数を定める。なお、教育課程編成上の特例として「学習が困難な児童生徒の特例」「重複障害者に係る特例」「訪問教育に係る特例」について、児童生徒の実態を十分調査し適用を図っていく必要がある。また、養護・訓練の内容の指導に当たっては他領域、他教科との関連を図り、標準となる総授業時数の枠内でおさめるよう工夫し、児童生徒の負担過重にならないようにする配慮が大切である。

 

3 盲・聾・養護学校の教育課程

児童生徒の障害の種類や程度等に応じ多様な教育課程の編成をすることが一人一人の実態に応じた指導を容易にするためにぜひ必要なことである。盲・聾・養護学校の教育課程は常に障害の克服・改善と障害児一人一人の自立の達成という課題を背負っている。このため、ややもすると教育内容や授業時数の増加を招きかねない。児童生徒の負担過重とならないように、指導内容の精選と重点化を一人一人の実態に即してなされなければならない。

教育課程の改善に当たっては次のような観点が大切である。

○ 県教育委員会養護教育指導の重点を踏まえ、自校の教育課程の課題を明らかにする。

○ 学校の努力目標、努力事項より教育課程の改善点を明らかにする。

〇 一人一人に応じた教育課程の実施がなされるよう、児童生徒の実態を的確にとらえ、教育課程を編成する。

○ 提携施設や病院との関連について改善点を検討する。

○ 前年度の反省、評価を集約し問題点を明らかにし改善策を具体化する。

○ 進路の実態について検討し、教育課程見直しの視点とする。教育課程の改善において何よりも大事にしなければならないことは、日常の真剣な教育活動に基づく反省、評価であり、それを集約した内容である。

 

4 特殊学級の教育課程

特殊学級の児童生徒は軽度の障害ではあるが、通常の学級における教育課程では十分教育効果をあげることが困難である。従ってその障害の種類や程度にふさわしい教育課程の編成がなされなければならない。

例えば、自閉症児や青緒障害のある児童生徒の場合は、養護・訓練の内容、特に「心身の適応」「感覚機能の向上」「意思の伝達」の内容の指導について・研究を深め教育課程を編成する必要がある。

教育課程編成に当たっては、次の観点が必要である。

 

一人一人の実態に応じた指導(コンピュータの活用)

一人一人の実態に応じた指導(コンピュータの活用)

 

 

 


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