教育福島0131号(1988年(S63)06月)-010page

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○ 児童生徒の実態を教育課程編成の基盤に据えて、将来の社会自立に必要な基礎・基本となる指導内容を精選する。

○ 個別に指導の重点目標を定め具体的指導内容を選択するなど個別指導に十分留意して編成する。

○ 県教育委員会養護教育指導の重点や教育事務所、市町村教育委員会の重点目標を踏まえ、教育課程改善の観点を明らかにする。

○ 学校の養護教育の努力目標、努力事項との関連を密接にする。

○ 前年度の反省、評価を集約し問題点を明らかにし、改善策を具体化する。

社会自立を目ざす障害児にとって、義務教育九年間は無駄を許されない年月である。必要最小限の教育内容を精選して確実に学習させ定着を図り、卒業後の社会自立を果たす教育課程が必要である。

 

(二) 教育課程の評価と改善

1、評価の必要性

教育課程の評価は、学校の教育目標を効果的に達成するために、教育課程の編成と実施が適切に行われていたかどうかを確かめ、改善の方策を立てることである。養護教育を推進するためには、実践結果の改善が重要なカギとなるのであり、日々の評価の集積が大切な要素となってくる。

評価の対象は、教育課程の編成から、指導計画の作成と展開に及ぶものであり、その評価の観点は広範囲にわたる。このことから評価を適切に行うためには、評価の観点を明確にするとともに、客観的な資料に基づいて、全教師の協力のもとに組織的に進めていく必要がある。

 

2、評価の観点

教育課程の評価には、おおむね次のような内容が含まれる。

○ 教育目標の設定と具現の方策に関する評価

○ 教育課程編成の手順に関する評価

○ 教育内容の取り扱いや組織に関する評価

○ 授業時数の運用や日課表に関する評価

○ 指導計画とその展開に関する評価

この中で、指導計画の作成は、教育目標を具現化するために、心身の障害の種類や程度等、児童生徒の実態に応じて指導内容を、指導時間との関連でどう選択して組織していくかの具体的な計画であり、その作成と展開は教育課程の実施に欠くことのできないものである。

盲・聾・養護学校の指導計画は、児童生徒の実態に基づき、教育目標を達成するために特別な配慮のもとに作成することが必要である。そのためには、指導計画を評価し改善を図っていくことが特に望まれる。

次にその幾つかの望ましい評価の観点について述べる。

(1) 指導内容の取り扱いに関する評価

ア 学習指導要領に示されている指導事項、内容の取り扱いについて十分研究されているか。

イ 学校、学級の実態、児童生徒の心身の障害の実態を考慮して、授業時数の範囲内で具体的な内容を選択し組織されているか。

ウ 児童生徒の人間としての心身の調和的な発達を目指し、発達段階と障害の特性を考慮して、指導内容を選択しているか。

エ 心身の障害に基づく種々の困難を克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養うための内容が選択されているか。

オ 創意を生かした教育活動の展開にふさわしい指導内容が選択されているか。

(2) 指導内容の組織に関する評価

ア 各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練について、相互の関連と調和が十分に図られているか。

(ア) 各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練の目標及び指導内容の関連が明確になっているか。

(イ) 基礎的・基本的な指導内容が欠落しないように配慮されているか。

イ 各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練について、発展的、系統的に指導できるように組織されているか。

(ア) 指導内容についての発展性、系統生はどうか。

(イ) 指導の時期、方法についてはどうか。

ウ 児童生徒の障害の種類や程度及び発達段階に応じて、指導内容の組織と配列に工夫が加えられているか。

(ア) 教科別、領域別、領域・教科を合わせた指導の形態など十分配慮されているか。

(イ) 指導事項のまとめ方や順序に工夫が加えられているか。

(ウ) 教科別の指導事項のまとめ方や指導の順序及び重点の置き方に適切な工夫が加えられているか。

(エ) 能力差に応じた指導内容で選択できるように指導事項が十分吟味され準備されているか。

(3) 指導計画とその展開に関する評価

1) 指導計画に関する評価

ア 各教科、道徳、特別活動及び養護・訓練の指導内容の相互の関連が図られた指導計画になっているか。

イ 教科や領域の特質を踏まえ、発展的、系統的な指導計画になっているか。

ウ 児童生徒の障害の種類や程度及び発達段階を考慮し、指導の時期方法等について十分検討が加えら

 

 

 


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