教育福島0131号(1988年(S63)06月)-011page

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れているか。

工 教科別、領域別、領域教科を合わせた指導の形態等、相互の関連が十分図られているか。

オ 心身の障害の程度及び能力差等に対応する弾力的な指導計画になっているか。

2) 指導計画の展開に関する評価

ア 目標が具体的に設定されているか。個人又はグループの目標の設定が明確であるか。

イ 個人差に応じた指導ができるように配慮がなされているか。発達段階に応じた指導、集団指導の中での個別的配慮が十分なされているか。

ウ 児童生徒の興味や関心の実態を踏まえ、喜んで学習に取り組める学習活動が設定されているか。

(ア) 毎日の生活に直結した活動

(イ) 感覚・運動的な活動

(ウ) 自由遊び・集団遊び

エ 教材の具体的な提示が準備されているか。

(ア) 実物や半具体物を媒体にした学習

(イ) 劇化や作業化の工夫

(ウ) 障害の特性や程度に応じた教材・教具の創意工夫

(エ) 家庭の理解と協力を得ることが明確になっているか。

(オ) 学習の成果を評価し、改善を図るための方法が配慮されているか。

 

3 評価の方法

教育課程の評価は、教育活動をより効果的に進めるための改善点を明らかにするために実施するものである。

すなわち、評価は、目標→計画→実施→評価→修正・改善というそれぞれの機会と場において考えることが大切である。

適切な評価を実施するためには、評価対象を明確にし、評価の機会と場を設定し、その目的によって評価方法について十分検討し、修正・改善を図るための的確な情報を収集し活用することが望まれる。

 

三 重度・重複障害教育内容の充実

 

障害児の教育機会が拡充されるのにともない盲・聾・養護学校における重度・重複障害児の在籍比率は高まってきた。それにともない、重度・重複障害児の教育内容の充実が課題となる。県教育委員会としては重度・重複障害児にかかる指導の重点として

○ 教育課程は、個々の障害の状態及び発達段階に応じ基本的動作が十分習得されるよう編成する。

○ 指導に当たっては、障害の状態及び発達段階に応じ、養護・訓練の内容との関連を図り、弾力的な指導を行う。

○ 訪問教育は、保護者との連携を密にし、個々の児童生徒の興味や関心、能力を重視した指導を行うとともに教育効果を的確に把握するように努める。

の三項目を掲げた。これらの実施に当たっては、一人一人の、障害の状態及び発達段階をきめ細かく見きわめることが必要で、そのためには次のような事前調査がほしい。

1) 生育歴や病歴障害の状態との関連で病名や病気の進行状況、発作の有無等について具体的に把握する。また、乳幼児期の発達状況の把握と後退した機能の有無について調査する。

2) 相談の経過

最初に相談機関を訪れたときの主訴や相談内容。相談の経過と諸検査の結果を把握する。

3) 指導の経過

訓練や指導の内容、方法を把握する。その他、家庭環境や家庭の悩み、養育の苦労なども聞き取っておくとよい。重度・重複障害児とのコミュニケーションはなかなかとりにくいところがあり実態把握も容易でないが、行動観察を詳細に行い、その内容を分析することによりしだいに明らかになるものもある。そのうえで、実態にごく近いところに指導の目標をおかなければならない。

また養護・訓練の指導に当たっては、一人一人に応じた指導内容を精選し重点を定めなければならない。さらにこの重点的な内容をいろいろな授業場面、指導場面においても十分配慮する必要がある。

訪問教育については、養護学校教育義務制施行に伴い従来の学校教育の方法を見直し、「心身の障害のため通学して教育を受けることが困難」な児童生徒に対し、家庭等に教員を派遣して教育を行うことができるようにした趣旨を踏まえた指導を行う必要がある。家庭を訪問して在宅心身障害児の指導に当たる場合は、保護者との連携を強め、事前に実施方法等の理解を深めておくことが大切である。また、対象児のみならず保護者との信頼関係についても十分配慮し家族の協力を得るように進めなければならない。

ところで、重度・重複障害児は施設や病院に収容され生活している場合も多い。そして、ここにおいても衣服の着脱、排せつ、食事等においても指導がなされている。この点を踏まえ、施設職員・医師や看護婦等との連絡会議、ケース会議、合同の研修会を開催するなどきめ細かな連携に努める必要がある。

しかし、重度・重複障害児の教育内容・方法の研究、開発は今後十分推進されなければならない大きな課題である。県教育員会としては、重度・重複障害教育内容・方法の研究開発のための研究学校の指定を行い、昨年度は石川養護学校、郡山養護学校安積分校が二か年間の研究

 

 

 


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