教育福島0131号(1988年(S63)06月)-012page

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成果を公表した。ここに県立石川養護学校の研究について紹介する(資料1参照)。研究主題として掲げた重度・重複障害児のコミュニケーション能力の向上という問題は、重度重複障害児の在籍するすべての盲.聾・養護学校における大きな課題でもある。また、研究の対象は自閉症児、青緒障害児、ダウン症児、重度の脳性まひ児等であり、取りあげた内容はいずれも、発達の初期的段階の学習課題であった。重度・重複障害児教育内容の基礎、基本を考える際の大切な視点のひとつであり、また二年間にわたる指導法の研究結果は即実践できる内容である。

また、昭和六十三年度から新たに富岡養護学校及びいわき養護学校を指定し、重度・重複障害児の指導内容・方法の研究に取り組んでいるところである。

重度・重複障害児の指導に当たっては、児童生徒の小さな変容をも見逃さない確かな観察眼と、把握した内容を指導に活用していく柔軟な判断力が大切である。さらに、児童生徒の感情や期待等の心の動きを敏感に感じとれる豊かな感性も指導者の資質として求められる。

盲・聾・養護学校においては、複数担任による指導の在り方、役割分担など教師一人一人の、特性や技能を効果的に活用するためのチーム・ティーチングについても一層研究を進め、授業の改善に努めなければならない。なお一複数担任の場合、事前の打ち合わせが不十分であったりして、指導の手だての不一致が多くなると重度・重複障害児は混乱し学習が進まなくなることがあるので注意しなければならない。

 

四 交流教育の推進

 

(一) 交流教育推進事業の推進

盲・聾・養護学校の学習指導要領においては、「児童生徒の経験を広め、社会性を養い、、好ましい人間関係を育てるために、学校の教育活動全体を通じて、小学校の児童又は中学校の生徒及び地域社会の人々との活動を共にする機会を積極的に設けるようにすること」と示されている。

また、これに関連して文部省事務次官通達によって、小学校や中学校においても、「この趣旨を十分理解し、適切な教育活動が展開されるよう」に各教育委員会等関係機関を通じて指導が行われている。

本県ではこれをうけて、昭和五十四年度より県単独事業として「養護教育交流推進事業」を実施してきたところである。

心身障害児と障害のない子どもたちや地域社会の人々との交流については、様々な場面で、様々な形態で行われることが期待されるが、とりわけ、これを学校の教育活動の一環として実施するいわゆる交流教育の場合は、特に大きな成果を上げることができると考え、

 

(資料1)県立石川養護学校における研究(概要)

 

 

 

 


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