教育福島0131号(1988年(S63)06月)-015page
盤ができていることと同時に重要なことは、課題や研究方法に対する教職員の共通理解である。
いくつかの研究実践校の研究集録の中で、研究を進める上での問題点や、今後の課題の中に、必ずと言っていいほどあげられているのが、「共通理解をどう図るか」であり、共通理解が図られなくて研究が進まない悩みをあげている学校もある。いかにして共通理解を図るかが校内研修を高めるためのキーポイントと考えてよいであろう。共通理解と言っても、「何を」理解するのか、この「何を」が不明瞭のままで、理解だけを求めると混乱が生じてくるので、全教師の課題意識の高い「何を」をしっかりと定める必要がある。「何を」を定めるときには、学校の教育目標(努力目標や重点目標)との関連を明瞭にすることが共通理解を図るためには有効である。
次に、体制づくりで大切な点は、研究のねらいを達成しようとする意欲の喚起である。教師が最も意欲を燃やすのは「目の前にいる児童生徒の問題をいかに解決するか」「児童生徒をいかに向上させるか」に関してであろう。身近な問題を的確にとらえて、共通の課題と解決のための仮説を設定して研究的に実践を進め、児童生徒の変容をとらえることができれば、研修体制はおのずとでき上がるものと思われる。しかし、研修のスタート時に、全員が同等に理解し、意欲を燃やせるかというと、そうでない場合が多いようである。百パーセントの理解を前提とすることは困難であるかもしれないが、その成果が児童生徒一人一人に反映されることを信じ実践を積み上げていくことが大切であろう。
2、研修組織と推進計画
(1) 研修組織.
研修組織は研究体制の基本であり、研究推進委員会等の名称で呼ばれる推進母体を中心に組織するのが、一般的である。
研究組織を作るに当たっては
1) 校務分掌や学部所属を考え、学校全体として有機的な関連が図られるように研究推進母体を位置づけること。
2) 教職員の経験年数、専門とする分野を生かすことができるようにすること。
3) 活動しやすくするため、できるだけ具体的に組織し、相互の関連が図られるようにすること。
盲・聾・養護学校においては、小・中・高等部と分かれている上、障害の重複化に伴い、学級編制も多様になる場合があり、それだけ、共通理解を図るためには、組織づくりをはじめ、会議の運営や連絡、調整に工夫が必要になる。
次に実際の研究組織について、二校の例をあげてみる。一資料3参照)
二校の例でもわかるとおり、研修組織の形は、学校の実態や研修の目的によって変わってくる。しかし、いずれの場合でも研修を推進するためのプロジェクトチームが組織されている。これらは、研修推進委員会等の名称で呼、ばれており、校内研修を計画的にかつ効率的に運営していくための中核的な役割を担っている。
また、全体会や分科会が組織されているが、全体会は全体としての研修の場で、研修内容を全教職員で討議^.協議し、研修進行状況や成果について全員で共通理解を深める場となる。分科会は、具体的な研修が計画され、実施
(資料3)研究組織の実際