教育福島0131号(1988年(S63)06月)-033page
クテスト ○集団構造マトリックスの作成
3 生徒理解個票原簿記入は、学級担任外の教師の協力のもとに、主として学級担任が行う。
4 原簿よりコンビュータヘの入力は、五〜六名の入力スタッフを中心に行う。
5 個票の呼び出し、各種検索については全員が行えるよう研修を進める。
6 個票原簿、コンピュータ、フロッピー等、関係書類機器等は、教育相談室に厳重保管、施錠を確実にし、使用にあたっては使用願により学校長の許可を得て使用する。
指導法検討部
(一) ねらいと見通し
基礎資料作成部で作成した資料を積極的かつ有効に活用し、「学級の指導を中心として」個人が成長し、主体的に行動できる生徒の育成を図るため学級指導、学級会活動及び道徳の時間を充実させるとともに、ゆとりの時間や短学活を有効に活用し、教師と生徒、生徒と生徒の触れ合いの場と方法を考える。
また生徒会活動との関連で学級活動の進め方や教育相談の持ち方を考え、授業との相互関連を適切にはかり、生徒一人一人の実践意欲をゆさぶる活動を計画的に位置づけ、自己実現への教師の適切な指導と援助の手だてのあり方の研究を深める。
自己実現のため、教師と生徒、生徒と生徒の触れ合いの場と方法を毎日の授業や日常生活における具体的な場面での実践的な指導を重ねていけば、自己を表現し、相互に認め合い、励まし合い、実践の意欲をゆさぶっていくことができる。さらに日常生活の具体的な場面での指導、援助と相まって、主体的に行動できる生徒が育ち集団の中で個が育ち自己表現ができると考える。
(二)具体的実践例
指導法を検討し、それを実践に移していく概要については前述してあるのでここでは「グループ・エンカウンター」の実践例について述べてみたい。
▼グループ・エンカウンターの意義▲
周知のように今の教育現場では、いじめ、校内暴力、登校拒否、校則違反、女子非行、無気力などが問題点として指摘されている。そしてその原因や対策に関しては多種多様な解説がある。これらの問題の解決には「教師と生徒」「生徒と生徒」の心の触れ合いを回復することだと考えている。
心の触れ合いがないとはどんなことか。外界に対して絶えず防衛的になることである。そして防衛の仕方が三つある。人の顔色を見て動くようになる(ぶりっこ)、人を攻撃するかたちでつながりをつくろうとする一いじめ)、あるいは自分の殻に閉じこもって外界にふりまわされまいとする(無気力)。換言すると、心の触れ合いの乏しい人間集団では、安心して自分自身になれない。自己疎外を起こさざるを得ない。自分のホンネは何かがはっきりしなくなる。「私は何かしたいのですが、何をすればよいかわからないのです」という生徒がその一例である。
外界への防御機制が強いということは、自己主張の勇気が弱くなるということである。一見如才なく見え、敵もいなく、幸福そうに見える。しかし観点を変えると、敵ができないほどに自己主張のできない骨抜き人間になってしまったということでもある。したがってこれからの時代を生き抜く人間はつぎの二つの資質を身につけることが大切になってくる。・
1 自分のあるがままの状態を認識し受容する。つっぱったり、八方美人になったりして本当の自分を抑圧しない。
2 今ここにいる本当の自分をできる限り正直に表現する。自己主張、自己開示、自己表現することによって他者とのリレーションは深まるし、自分でも自分のことが見えてくる・
この1と2があると、暖かい人間関係が生まれ、いわゆる問題行動は減少していくのではないかと思われる。それを教育の場としての学校の中で実践しようとしたのがグループ・エンカウンターである。
▼グループ・エンカウンターの実践例▲
1 「後に倒れる」
二人一組。同じ方向に向き、十五センチくらい間隔をおいて立つ。前の生徒は目を閉じたままそっと後に倒れかかる。後ろの生徒はしっかり支えて元に戻してやる。人を信頼していないと倒れるのは大変恐いものである。恐ろしがると足を曲げて倒れたり、倒れかかってすぐ足をついたりして自己防衛体制をとってしまう。また恐ろしいから目を開いたままの生徒もいる。信頼関係が深まるにつれて「安全」だという感じが生まれてくるから、人に身をゆだねることができるようになる。
2 「探偵ごっこ」
〈手順〉
質問事項を十〜十五程度書いたプリント(資料1)を生徒に配布した後、次のように指示する。「まず誰でもよいからペアを組み、じゃんけんをします。勝った方がプリントの質問を順番にしていきます。負けた方が「ハイ」というまで質問を続け、その答えたところに負けた方の名前を書きます。
その後負けた方が勝った方に同じように質問し、やはり「ハイ」と答えたところに名前を書きます。そこまできたらペアをといて別の相手を探して下さい。空欄には一名しか名前を書くことができません。また人の調べたものを写したり、会話を盗み聞いて名前を書いたりしないこと。それから、一人から一つしか「ハイ」という答を得ないことも守って下さい。誰が時間内にもっともたくさんの人を見つけ出せる