教育福島0131号(1988年(S63)06月)-035page
します。各学校での実践の参考にしていただければ幸いです。
○ 県教育委員会指定
( )内は研究指定年度
・原町市(六十一・六十二)「中高連携推進地域指定事業」1中学校と高校が多様な連携と一貫した教育を行い、有為な社会人の育成を図る一
・長沼高等学校(六十一・六十二)「意欲的な学校生活の実現をめざす生活指導の実践」
・好間高等学校(六十三・六十四)「自律性を高めるための生徒指導」−生き生きとした学校生活をめざして−
○ 文部省指定
・内郷高等学校(六十二・六十三)「学校生活を充実したものにするための生徒指導の在り方について」
よりよい学校生活を送らせるための指導の実践
県立長沼高等単校
一、本校の概要
本校は、全日制普通科各学年三学級、教職員三十名、生徒三百四十九名の男女共学校である。
昭和五十三年四月、福島県立須賀川高校から独立し、十周年を迎えた現在、いわゆる、地元の中学校である長沼・岩瀬・天栄の各町村出身生徒が多い状況から須賀川・郡山市出身の生徒数が年々増加し、創立当時に比べ大分様変わりしてきた。
今後はこのような実態をも踏まえ、十プラス一年目という六十三年度を新たな「長高元年」として、歩み始めたところである。
二、主題設定の理由
本校生徒は概して、素直で明るく、まじめに学校生活を送っている。
反面、非社会的、又は、反社会的行動をする生徒も増加し、学校生活ばかりでなく、生活全般で不適応状態に陥る者もみられるようになってきた。
このような傾向は、昭和五十六年度あたりから顕著になり、その対応に迫られるようになった。
こうした折に、福島県教育委員会から生徒指導分野の研究校として指定(昭和六十一・六十二年度)をうけたのである。
そこで、本校では、従来から実践してきた生徒指導の諸方策を現在の生徒の実態に即した方策に改善することを通してこの状況から一歩でも前進したいと考え、まず生徒の実態把握を行い、ついで諸方策を見直し適切な指導方策となるよう体系化し、研究推進しようと考え、主題を設定した。
三、研究内容と方法
(一)、組織図(略)
中心組織=適応指導研究推進委員会(教頭他各部代表)を設置した。
(二)、研究内容
研究主題に迫るため、次のような内容で研究を進めた。
1) 生徒の実態調査と保護者の意識調査(生徒保護者へのアンケートによる基礎調査)
2) 基礎学力向上のための諸方策の見直しと改善
3) 適応指導充実のための諸方策の見直しと改善
4) 諸方策の体系化
5) 諸方策の実践とその評価
(三)、研究方法
基礎学力充実と適応指導の徹底の二分野に委員会を置き、基礎調査をもとに研究を展開し、最終的に両分野を統合する形で推進することとした。
(四)、研究計画と経過(略)
四、実践研究の内容
(一)、基礎調査
研究を進めるうえで必要な基礎資料を得るため、学校生活に関するアンケート調査を生徒と保護者について行った。
・アンケート内容(略)
・集計結果一資料1、抜粋)
(二)、学校生活不適応生徒の背景
本校生の学校生活不適応の背景を、基礎調査、入学者選抜学力検査の結果、中学校からの調査書、新入生アンケート調査、入学後の諸記録(面接、観察家庭訪問等)などに基づいて整理すると、次の六項目の課題が浮き彫りになった。
1) 学力不振
2) 不本意入学
3) 目的意識の欠如
4) 家庭環境の複雑化
5) 本人の生格・行動
6) 集団からの孤立
これらは、生徒によって単一なものではなく、そのいくつかが、複難に絡み合っている場合が多い。
(三)、適応指導を図るための前提
1) 生徒と教師の好ましい人間関係の樹立
教師ばなれはもちろん、親子関係もうまくいっていない不適応傾向の強い生徒には、疎外感を潜在的に抱いている者が多い。したがって、心のふれあいを基本に据え、情意的側面を大切に指導すること、そして、何よりも授業を大切にする教師となることの共通理解を得て、閉ざされた生徒の心を解きほぐすことを指導の基本的姿勢とした。
2) 保護者との好ましい信頼関係の樹立
学校、教師に対する不信感に関しては誠意をもって解消への努力