教育福島0131号(1988年(S63)06月)-043page

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正誤反応パターンを学級全体の達成・未達成の傾向に照らして判断するようにした。

○ 既知的内容の量・個人差の傾向を見るために、その単元において学習に必要な基礎的基本的事項をテスト内容にし(分析方法として、誤答を除いた正答数だけを取って、学習の理解度を調べた。学級全体の傾向を分析するためには、成績の上位から下位までを得点群(縦軸)に分け、各問題ごと一横軸)の正答率を求め、どの得点からつまづきがあるかみれるような表を作り分析した。つぎに、個人の傾向として、カテゴリー別につまずいている既習事項を見つけるようにした。

学級全体の傾向も個人の傾向も、目標分析表を作成し、目標に到達(○)・未到達(×)とした表を作った。

(3) 学習スタイルから授業を設計するために、次のような点をふまえた。

○ 多動型学習スタイル=話し合い学習、操作学習などで自分の考えを十分に表意できる場面で設定する。

○ 思考型学習スタイル=1論理的な思考過程を通して解決できるように場面を設定する。言葉や式で説明できるようにする。

○ 観察型学習スタイル=操作学習、体験的学習など多く取入れ、実験観察の場面を多く設定する。

○ 診断型学習スタイル=1学習ステップを細かに刻み、教師の補助を多く与えるように設定する。具体物で説明できるようにする。

(4) 形成的評価をするために

1) 単元の基礎的基本的事項を学習指導要領から十分読み取れるよう努めた。

2) 学年間の単元の系統生を整理した(

3) 各単位時間の指導計画及び目標を作成し、A知識理解・B技能・数学的な考え方・D興味関心の4つの領域に整理し、下位目標を設定した。

4) 単元の形成的評価は、S−P表から一人一人のつまづきを見つけ、補充・深化の指導に役立てた。

5) 自己評価を適切にし、一人一人の事後の意識を見れるよう工夫した。

 

五、研究の成果と今後の課題

 

(1) 自分自身の学習方法や到達目標を設定してやることよって、教師自身指導のねらいをはっきり持つことができ自信を持って教壇に立つことができた。児童も学習意欲が高まり、活動的な学習態度になった。つまり、教師にとって指導目標の達成を把握することにより、その評価をより客観的にとらえることができたという安心感を持ち、その評価により次の段階の方策を講ずることを可能にする大きな資料が増えることにもなる。また、その評価が有効に児童に受け入れられれば、児童は、学習目標への到達度を自己把握できるようになり、学習や生活に対して、主体的自覚的な認識も高まり、次の学習に対して意識を持って取り組めるようになると考えられた。

(2) 学習のスタイルを決めるにあたって、児童の生格、思考タイプ、習熟度、友人関係、家庭状況、成育歴など個々の児童を取り巻く環境を含めて調査し、観察は、日常の生活と授業の中での計画的な記録の累積が必要である。

(3) 学習スタイルに応じた個別化であっても習熟度別学習を取り入れた授業のようになってしまった。それは算数科の特殊性であると考えられる。それは、児童が理解するに当たって『問題解決するまでの時間』『既習事項の定着度』などが大きな要因としてかかわっているからだと考えられる。

(4) 評価するにあたって児童の変容を見るために事前テストと事後テストは同じ内容にしたが、そのテスト内容は、学習内容や学習方法、思考順序によくマッチしたものでなければ児童の本当の変容を見ることも成就感を持たせることもできない。

(5) 児童の自己評価を見ると、『わかりやすかった』『できた』『分かった』という感想が多かった。もっと児童が成功感や成就感を持つような授業を目指すとともに児童相互の評価も必要である。

 

到達度リスト

正答率分析表(%)

 

正答率分析表(%)

 

 

 

 


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