教育福島0131号(1988年(S63)06月)-045page
図2によると、市町村就学指導審議会で「特殊学級入級適」と判断され、特殊学級に入級している児童の適応率は、八十パーセント台と高くなっており、その判断結果がおおね正しかったことを裏づけています。しかし、「適応していない」と評価された十パーセント台の児童については、就学先等について、再度、見直す必要があると思います。一方、「特殊学級入級適」と判断されても、通常の学級に在籍している児童の適応率は、特殊学級在籍児に比べ大変低くなっています。この結果は、これらの児童の就学指導に関して一層の努力の必要を示しているといえます。
五、まとめ
一口に心身障害児といってもその障害状況は多様であり、加えて、適応の状況も様々です。適応の問題は、個人とそれを取り巻く環境の両面から考えることが大切です。したがって、心身障害の適応の問題も心身障害児の側だけに視点をあてたのでは、片手落ちになります。
最後に、心身障害児の適正就学の進め方について整理してみます。
まず、市町村就学指導審議会での慎重な判断結果をもとにした就学指導が、心身障害児の生活面、学習面での適応を図るための大前提であり、就学指導の基本といえます。今回の資料でもこのことが裏づけられています。
次に、心身障害児が、学校生活に適応していくためには、基本的生活習慣を身につけ、集団参加・対人関係・遊び・コミュニケーション等がうまくでき、周囲から認められたり、お互いに助け合える態勢づくりが大切となります。そのための指導のあり方をしっかりおさえた養護教育に対する取り組みが必要でしょう。
更に、学習面の結果では、精神薄弱や情緒障害等が認められる場合、一斉指導が困難であるとの指摘が多かった事実は、小集団での学習や個別指導の工夫が、従前にもまして必要度を増してきていることを意味します。このことは、特殊学級のあり方にも深くかかわることなので、腰をすえて取り組む必要があるでしょう。
表2 心身障害児の適応状況に関する調査項目
図1 特殊学級及び通常の学級に在籍している心身障害児の項目9〜31における「〜できる」「〜わかる」「〜している」等と評価された比率
図2 市町村就学指導審議会で「特殊学級入級適」と判断された児童の適応状況