教育福島0203号(1997年(H09)06月)-027page
昨年十月十六日には、大槻スポーツ広場を中心会場とし、各種のレクリエーション、焼肉昼食会、七宝焼きづくりなどの活動が展開されました。当初は、「カウンセラーとして、どのような指導を行えば良いか」などと非常に難しく考えていたのですが、指導担当の先生から、「生徒たちはこの行事に参加すること自体が勇気のいることで、大きな決断をしてきています。それを評価し、無理に何かを指導せず、生徒と一緒に、楽しく活動してください」という主旨のアドバイスがあり、納得した反面、大きな戸惑いもありました。「なるほど、では、今日は教師の衣を脱いで、子供たちと遊ぼう」ということで、主にスポーツ活動を通して、子供たちと楽しい時間を過ごすことができました。
不登校児とはいえ、接してみればごく普通の生徒です。時間に追われず、結果を急がない各種活動はとても楽しく、参加した私自身も生き生きしてきました。
年が明け、三月十一日に行われた第三回目。冬ということもあり、今回は、「スケートで楽しく活動しよう」というのがめあてでした。会場は熱海町の磐梯熱海アイスアリーナ。私の勤務校からは、協力者として、アイスホッケー指導者の水野教諭、スケート部の生徒も数名活動に参加しました。
指導担任者から、「スケート講習会にならないように。」というアドバイスがあり、一人のスケート愛好者として参加することにしました。
活動の中で展開したのが「氷上サッカー」。一人の生徒がアイスホッケーのパックを蹴ったことにより始まったのですが、意外におもしろく声をかけるまでもなく、ほとんど全員がゲームに熱中できました。
午後は、靴を履き替え、スティックを持っての「長靴ホッケー」。ツルツル滑る氷の上で、指導主事・教諭・生徒の区別なく、みんな一緒に行ったゲームでは、パックを追い、必死になっての好プレー、珍プレーが続出、大きな歓声と笑い声の中、楽しい汗をかくことができました。
これらの体験は、不登校の生徒へのかかわり方、「指導」とは何かを深く考えさせられた、貴重な体験となり今後の教育活動にとても役立つものでした。
(郡山市立熱海中学校教諭)
アーチェリーとの出会い
今泉芳弘
出会いとは不思議なものだ。見ず知らずの人が偶然に出会い友達となっていく。そればかりか、人を大きく変えてしまうことさえある。一冊の書物、一篇の詩との出会いなど私たちが人生の途上で出会うものには限りがない。私は、大学時代に、アーチェリーというスポーツに出会うことができた。この出会いにより、自分自身を大きく高めることができたと確信している。
アーチェリーを、辞書で引くと弓術、弓の術と出てくる。まさにその通り、生活面、精神面、体力面、すべてがミックスされている。限りなく難しく、又限りなく楽しいスポーツ(術)である。無限大に広がっていく奥の深さ、やればやるほど味がでる。まるでスルメのようなものである。そのスルメの味を一度味わってしまうと、もう二度と離れられなくなってしまう魔法じかけのスポーツである。
アーチェリーは、弓と矢以外にも各種部品、保護具等たくさんの用具を使う。カーボンファイバー、超高分子量ポリエチレン繊維、各種合金などで作られており、科学的、物理的に非常に精巧な弓具である。しかし、良い弓具を使っていても、自分自身がしっかりしていなければ、それはただの道具に過ぎない。大切なのは、弓具だけでなく自分自身なのだということをしっかりとわきまえなければならないということである。アーチェリーは、「精神と身体と技術のバランス」がとても大切なスポーツである。
アーチェリーと出会ってから二十年。アーチェリーから得たものは、計り知れないものがある。機会があり、二年間「ふくしま国体」のコーチとして選手を育成した時、本気でよい選手を育てるには、自分が最善を尽くして頑張らなければならないのだということを強く感じた。「やる気」のアーチェリーでなくてはならない。やらされる三時間よりも、やる気の三十分という気持ちを持つことが大切である。口先だけで教えた