教育福島0209号(1998年(H10)02月)-039page

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〈初任研だよりの例〉

 

1) 「学級担任経験週間」の設定

 

1) 「学級担任経験週間」の設定

学級に所属し、実際の学級担任の指導の下に、担任として、短学活の指導や諸問題の解決に実際に当たる場を設けた。

2) 学級活動の研究授業について

「学級担任経験週間」のまとめとして学級活動の研究授業を行った。

3) 学級経営に関する指導項目の集中的な配置について

「学級担任経験週間」の前に、学級経営に関する指導項目を集中的に配置し、そこで学んだことを実践の場で生かせるよう配慮した。

初任者からは、「まだまだ不安があるが、もう一度やってみたい」とか「一生懸命やったという実感がある。更に研修を深めたい」との感想が出され、研修意欲の高まりがみられた。

(6) 初任研委員会の開催

組織を生かし、学校全体で初任者を育成するという観点から、初任研委員会を開催した。この中から、(5)の「学級担任経験週間」のアイディアが出たことは成果であった。また、初任研の中核をなす教員の自覚を促すことができた。

四 意識調査の結果

(1) 初任者二名の意識の変容

1) 「学級経営」の領域の意識の変容

学級の人間関係づくりに多少なりとも自信がついた反面、「そんなに甘くない」ことにも気付いたと自己評価している。〈グラフ1参照〉

2) 理想の教師像に関する変容

四月当初の「元気のある教師」などの漠然とした教師像から、研修を終えて「信念」「強さ」「指導」などの言葉の入った教師像に変化している。

(2) 一般教職員の初任研に対する考え方や意見

・生徒に言うべきことは言う、毅然とした態度がとれるようになってきたことは成長の証だ。

・「学級経営経験週間」は、大変よかったが、一度では不十分である。

・校内の現職教育を活性化し、教科部会や学年部会を充実させることが、即、初任研の充実となる。

 

〈グラフ1〉

 

学級経営の分野別の自己評価の変容

 

学級経営の分野別の自己評価の変容

学級経営の内容

(1) 学級目標設定

(2) 学級組織づくり

(3) 朝、帰りの短学活の運営

(4) 教室の掲示、美化、安全管理

(5) 保護者会や家庭訪問など家庭との連携

(6) 学級の実態把握の仕方

(7) 通知票の作成

(8) 出席簿、指導要録、健康診断、歯の検査表等の記入事務

(9) 学級の温かい人間関係づくり

(10) 生徒と教師の信頼関係づくり

 

五 研究の成果

(1) 学級担任をしていない初任者に対する「学級経営」領域の研修については、以前から初任研実施校で工夫されていたところであるが、今回、「学級経営経験週間」という形で実践した結果、初任者二名とも学級担任への意欲が大いに高まった。

(2) 初任者を校内全体で育てようとする雰囲気が醸成されるにつれ、初任研の授業参観者が増えたり、特に意識せずに自然と初任者の相談にのる先輩教員の姿を数多く見ることができた。

(3) 初任研が活性化するにつれ、一人一人の教員も刺激を受けて、研修意欲が高まった。特に、若手教員は、学級経営面で大いに刺激を受けたようである。

六 今後の課題

(1) 生徒との信頼関係をつくることは学級経営の基盤となる。生徒指導分野でのマニュアルの自校化も課題である。

(2) 学級経営領域での初任研の成果が試されるのは、翌年以降と言える。実質的には複数年で初任者を育てるつもりでの温かな対応と全職員の共通理解が必要である。

(3) 平常の教科部会、学年部会を活発にし、自己研鑽できる生きた組織づくりが今後の課題の一つである。

 

一年や二年で「学級経営のできる教員」が完成するはずはない。初任者は、若手の熱意とベテランの経験とが融合し、全校に活気が満ちている学校の中で育てられるものであることを知らされた。

 

 

 


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