教育福島0210号(1998年(H10)04月)-028page

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しまう。

作品の後半は、「終戦の年の四月、小学校一年の末の妹が甲府に学童疎開をすることになった」という文章で始まる。

父はおびただしい葉書に几帳面な字で自分宛の宛名を書いた。

「元気な日はマルを書いて、毎日一枚ずつポストに入れなさい」

妹はまだ字が書けなかった。その葉書をリュックサックに入れて遠足にでも行くようにはしゃいで出かけていった。

一週間ほどで、はじめて葉書が届いた。紙いっぱいはみだすほどの威勢のいい赤鉛筆の赤マルが書いてあった。それがだんだん小さくなっていって、ついにバツにかわった。少し離れたところに疎開していた上の妹が会いに行くと、泣いた。

間もなくバツのついた葉書もこなくなった。母が会いに行くと、百日咳を患っていた妹は、虱だらけの頭で寝かされていた。

という要約を記しながらも、わたしはまた目頭が熱くなってしまう。実は、ここには要約しきれないようなことが更に続く。あとは作品そのものを味わってもらうしかないのだけれど、便りというものの素晴しさ、うれしさ、哀しさは、人間の心に生きることの素晴しさと喜びを与えてくれることは理解してもらえると思う。

心を動かすもの、つまり感動がそこにあるか、ないかで相手に伝わるか否かが決まる。昨今少年に関わる問題が報道される中、二十一世紀を担う子供たちには、この「願いの強さが心をうつ」ことをしっかり引き出しにしまい込ませたいものである。

(田島町立田島中学校教諭)

 

サッカーを子供たちへ

佐久間俊一

 

だろう。優勝はブラジル、得点王はユーゴスラビアのミヤトビッチと予想する。

 

もうすぐフランス・ワールドカップだ。どんなドラマが繰り広げられるのだろう。優勝はブラジル、得点王はユーゴスラビアのミヤトビッチと予想する。

サッカーが好きだ。うれしい時も、つらい時も、いつもサッカーと一緒にいた。これからもサッカーを楽しみたい。また、子供たちにその楽しみを伝えていきたい。

サッカーは、世界の共通語だ。言葉は通じなくとも、心が通じ合う共通語だ。サッカーはすぐにゲームが成立する。足だけ使ってボールを運ぶという簡単なルールを設定すれば、どんな初心者でもそれなりにゲームを楽しむことができ、サッカーのすばらしさに触れることができる。それがサッカーの良さの一つだ。

正式の規則にこだわらないならボール一つでみんなで楽しめる。一つのボールを追いかけ、みんなの心が一つになる。夢が広がっていく。

このようにしてサッカーは、全世界でたくさんの人たちに愛され普及していったのだろう。

サッカーを通していろいろなことを学んだ。

第一に役割の大切さ。

コーナーキックの時、相手のゴールキーパーを攪乱する役割を命じられていた。自分も得点を決めたかった。でも、大切なのはチームが勝利することであり、自分が得点することではない。キーパーのすきをついてチームメイトが得点をすると、自分もそれに貢献できたことになる。役割を成就することの大切さを学んだ。

第二に退くことの大切さ。

ゴールに向かうだけでは勝利できない。三歩進んで二歩下がるこ

 

 

 


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