教育福島0218号(1999年(H11)4・5月号)-023/52page

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日々の想い

随想

日々の想い

ずいそう



新年度を迎えて

大楽洋子

大楽洋子

オオイヌノフグリ、フクジュソウ、クロッカス……と次々に草花が咲き出す頃、学校の新年度が始まります。どの花も自分に一番適した開花時期を感じ取り、誰が教えた訳でもないのに冬の寒さにじっと耐え、春を告げる日を待っているかのようです。

草花の特徴を知り、育てることは、子供の特性をとらえ、教え、育くむこととよく似ていると思います、せっかくの手入れや世話も、その花に合わなければ、成長を促すどころか枯れてしまうこともあるからです。

十年程前、私は養護学級を受け持つことになりました。「これまでの経験を生かして三人の子供たちと楽しくやろう」と新学期を迎えましたが、なかなか思うようにはいきませんでした。子供の実態をとらえ、子供の願いに応えようと考えてはいたのですが、その時の私には、子供たちの姿が見えず本当の声が聞こえていなかったのです。しばらく行動を共にし、生活していくと彼らの状況がわかるようになってきました。そして「今、何をしたがっているのか。どんな教材なら自分から働きかけようとするのか。どうずれば学習したことが身に付くようになるのか。一番必要なことは何か等々」、一人一人に合った活動内容を準備し、対応することの重要性がそれまで以上にわかってきました。

三人の子供たちが私に教えてくれたことは、「子供一人一人の実態を的確にとらえて、一人一人の違いを明らかにして指導にあたること」の大切さでした。また、「あれもできない。これもできない」という考え方ではなく、「これならできる。ここまでならできる。こんな事もできるようになった」というプラス思考の見方、考え方でした。

今年もまた、新しい先生方とキラキラ輝く一年生を迎えて新学期が始まりました。「目の前にいる子供たちをよく見つめ、声に耳を傾け、願いに応えられるよう、今年だからこそできる教育活動を目ざして行こう」と思いを新たにしているところです。

(古殿町立田口小学校教諭)



故郷、そして友

目黒和志

目黒和志

昨年、娘の保育所への入所をきっかけに、何年かぶりに自分の実家へ戻ることになった。

引っ越しの全ての荷が解けないうちに、思いもかけず近所に住む同級生から電話がかかってきた。久しぶりに戻ってきた私のために友人たちが歓迎会を開いてくれるというのである。幼いころは、毎日ソフトボールなどをしながら、兄弟のように遊んだ仲間たちだったが、私が故郷を離れた後は、たまに道で会った時にあいさつを交わす程度の疎遠な関係になっていた。だから、引っ越しを契機に自分の方から連絡を、と考えていた矢先だったので、その温かい心遣


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